「タンパク質不足」それは筋肉の成長を妨げたり、筋トレを頑張っても効果が出なかったりと、普段からトレーニングを頑張って肉体改造を目指す人にとっては死活問題と言えるものです。
しかし、タンパク質の不足が引き起こす悪影響はそれだけではなく、実は他にも様々な面において人体に影響が出てきます。
逆に言えば、タンパク質についての理解を深めておくことが、普段の筋トレやダイエットなどで効率的に結果を出していくと同時に、日常の生活でも健康に過ごすためにとても大切になってくるということ。
そこで今回は、人体にとって最も大切だと言っても過言ではないタンパク質について、なぜタンパク質が人体にそこまで重要なのかをまず考えていき、タンパク質が不足してしまった場合に起こり得る症状や兆候までを見ていこうと思います。
目次
タンパク質が重要な理由
タンパク質とはアミノ酸が長い鎖状に繋がったもの。このアミノ酸の繋がりであるタンパク質が、どうして人間にとってそこまで重要なのかを、まずは見ていきましょう。
タンパク質が重要な理由、それは、
タンパク質は筋肉を作り、人体の器官や組織はもちろん、新陳代謝や脂肪燃焼を高めたりといった「プロセス」にも関与していて、身体を構成する要素としてだけでなく、健康な組織や細胞を作る機能を支えるといった役割もある栄養素
だからです。
具体的には、重要な臓器、筋肉、組織はタンパク質から作られています。さらに、ヘモグロビンや重要な抗体までも作り出し、また、血糖値の調節、傷の修復、バクテリアの撃退などの役割も持っている。
つまり、タンパク質は身体の機能のほぼ全てに関わっているってこと。タンパク質がなければ生命は存在せず、タンパク質ほど重要なものはないといっても過言ではない存在なんです。
タンパク質は毎日必要とされる栄養素
そしてタンパク質は、身体が毎日必要とする栄養素でもあります。
タンパク質はこの瞬間にも起こっている皮膚や髪の毛、消化酵素や免疫機能の抗体に至るまで、ほぼ全身の細胞や組織の生成、成長、維持のために、食物として体内に摂取された後に分解されて利用されます。
さらに、タンパク質は体内で貯蔵しておくことができません。そのため、タンパク質は定期的に体内へ補給されなければならない栄養素といった側面もあります。
必要なタンパク質量とは?
そして、平均的な日本人が必要とするタンパク質量は、体重1kgに対しておよそ0.8g。例として体重70kgの人であれば、1日におよそ56g、つまり60g程度は摂取した方がいいと言われています。
さらに筋トレなどを行っている場合は、必要なタンパク質量はさらに増えて、体重1kgに対して1.5g前後、もう少し広めの範囲で言うならば、トレーニングの強度によって1.2~2.0gが必要だと言われている。
タンパク質が最も多く含まれている肉類、乳製品、卵、魚などの動物性の食品を活用して必要なタンパク質を補給したり、それが難しい場合はプロテインのサプリを利用していくと、タンパク質を必要量補給しやすくなる。
タンパク質不足で起こる症状や兆候とは?
タンパク質がどれだけ人体にとって大切かをざっくりと話してきましたが、ここからはタンパク質不足になってくると起こってしまう症状やその兆候などを見ていきましょう。
不安感や気分のムラが増える
タンパク質を構成する最小単位であるアミノ酸は、気分をつかさどる神経伝達物質を作る構成要素でもあります。そのため、タンパク質の摂取は、落ち着き、興奮、前向き思考の感情をもたらすホルモンを、脳が正常に合成出来るための重要な要素。
逆に言えば、タンパク質不足は精神面にマイナスの影響として現れてくるかもしれないってことです。うつの症状を引き起こす原因となることだってあるかもしれません。
筋トレに影響が出ている
タンパク質が新たな筋肉を作るのに必要だということは周知の通り。
そのため、タンパク質が不足した場合の分かりやすい影響が、筋トレをしても筋肉が大きくならずに、むしろ筋肉が分解されてしまいます。さらに、筋トレに対してもう少し間接的な影響として挙げられるのが、エネルギーやモチベーションの維持。
筋トレ中に体を動かすためには、エネルギーの代謝が必要となりますが、その代謝を正常に行っていくためにもタンパク質は重要。さらに、疲れにくい体を維持したり、気分を上げるためのホルモンを分泌するタンパク質は大切です。
また、タンパク質が少ない食生活を送ることで女性の場合は「女性アスリート三主徴症候群(食行動の異常・無月経・骨粗しょう症)」の原因になることもあります。
筋トレを頑張っても、筋肉の修復やエネルギーを高めるために必要な栄養素、その中でもタンパク質が不足していると、筋肉が大きくならないばかりが、他にも様々な悪影響が出てしまう可能性があるのです。
お腹周りが太くなってきた
タンパク質は摂り過ぎた場合、脂肪として体内に蓄えられてしまうなど、どちらかというと「タンパク質を食べると太る」といったイメージが一般的かもしれません。
しかし、タンパク質不足になった場合も、太ってしまう可能性があります。タンパク質の重要な機能の一つに、血糖値を安定させるといったものがあります。
タンパク質不足になった場合、血糖値が急激に下がったりすることで、体は即効性のある甘い糖質を欲して、血糖値を上げようとする。こうすると、知らず知らずのうちに間食をしてしまったり、食べ過ぎてしまうといったことになり、結果として脂肪がついてしまうことに。
さらに、タンパク質不足の影響で筋肉が落ちてしまっていると、基礎代謝も高くないため、今までと同じ量のカロリーを摂取していたとしても、消費カロリーは低くなっているため、余分なカロリーが脂肪として蓄えられてしまいます。
物事をはっきり考えられない
タンパク質は神経系の様々な機能が健全に働くために必要。
- 明瞭に考えられない
- 集中力がないやる気が出ない
- 新しい情報を取り込むのに苦労する
などの症状は、ドーパミンなどの集中力に必要な神経伝達物質が減少しているサインかも知れません。
神経伝達物質はアミノ酸を使って脳内で合成されており、タンパク質を十分に含んだバランスのとれた食生活が、脳のパフォーマンスをアップして、維持するためにも大切です。
逆に言えば、タンパク質が不足することで、頭に靄がかかったような感じで思考力が低下してしまうといった影響が考えられるのです。
コレステロール値が高い
高コレステロールと高い中性脂肪値は、脂質を多く含む食品を食べることで起きるだけではなく、炎症の増加、ホルモンバランスの崩れ、加工食品や糖分の高い食品の摂取が原因となることもあります。
タンパク質を含んだ食品を食べる代わりに、糖分の高いお菓子、精製された炭水化物やコンビニ食品を偏った形で食べていると、肝臓や細胞が脂肪を分解する効率が落ち、コレステロール値の上昇に結びついてきてしまうことがあります。
「タンパク質の摂取量と心臓疾患のリスクは反比例する」ということも言われているため、「タンパク質の重要性」と「タンパク質不足は人体にとってあまり好ましい影響を与えない」ことが伺えます。
よく眠れない
ぐっすり眠れない、不眠症であるという人は、不安定な血糖値やコルチゾール値の上昇が原因である可能性もあります。
タンパク質が不足してしまうことで、セロトニンの分泌量に影響が出てくる可能性がある。
セロトニンは、気分を落ち着かせるという役目を持つと同時に、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌量にも比例しやすいといった関係を持っているため、タンパク質不足に陥ると、上手く入眠出来なくなってしまうかもしれません。
毛が大量に抜ける
タンパク質が体の組織のあらゆる構成要素だということは、髪の毛にも影響を与えます。もし、髪の毛が大量に抜けてしまっている症状に悩まされている場合、もしかしたらそれはタンパク質不足が影響しているかも。
毛は皮膚が変化したものであるため、タンパク質不足で毛が抜ける場合、同時に皮膚も張りがなくなったりといった変化を感じられるはずです。抜け毛を防ぎ、皮膚に張りを持たせるためにも、タンパク質はとても大切な栄養素です。
月経周期が乱れる
タンパク質量は少ないのに、炭水化物(糖分)が多めな食事、つまり低タンパク質高炭水化物の食生活である場合、月経周期を維持するために必要な女性ホルモンのバランスを崩す原因にもなってしまいます。
月経周期はストレスや環境変化などによっても影響を受けますが、もしも他に心当たりがないのに月経周期の乱れが確認出来る場合は、タンパク質不足についても一度疑ってみると良いかもしれません。
ガスが溜まったり・便秘気味
新陳代謝の機能や消化機能は、アミノ酸の摂取に影響を受けます。タンパク質の欠乏によって、そのアミノ酸を十分に血中に補給出来ず、各組織が正常に働けなくなってくると、
- 消化酵素の生成
- 消化管の筋肉の収縮
など、消化機能全般にも影響が出てくることに。
もしも普段から、お腹の調子がなんとなく悪いといった場合は、タンパク質が不足していないかといったことも確認してみると良いかもしれません。
怪我をしやすい・傷が治りにくい
低タンパクの食生活を続けると、筋肉量の減少とそれによる転倒、また転倒によって起こってしまった骨折の治癒に余計に時間がかかったりするなどというように、
- 怪我をしやすく
- 怪我で出来た傷が治りにくい
といった症状が現れてくることになります。
他にも、タンパク質にはカルシウムの吸収と骨の代謝をサポートするといった役割もあるため、タンパク質不足になると骨がもろくなり、骨粗しょう症のリスクが高まるといったことが挙げられる。
加齢に伴って起こってくる筋肉量や骨密度の低下を抑えて、健康的に長生きするためには、タンパク質を十分に摂取していくことが不可欠であるということでもあります。
病気にかかりやすくなる
最初の方で触れた通り、タンパク質は免疫機能に関与する様々な細胞、組織、器官、酵素などを作っている構成要素。さらに、タンパク質は免疫機能自体をサポートする働きもあります。
逆に言えば、タンパク質が不足してしまった場合の症状として、以前と比べて病気にかかりやすくなってしまうといった変化も挙げることが出来ます。
また、人体を覆う皮膚も、体内に存在する他の免疫系と同じように、実は外部から侵入してくる病原菌から体を守る役割を持っています。しかし、タンパク質不足で皮膚を強く保てないと、それがまた病気に罹りやすい状況を生んでしまいます。
以前にも増して病気にかかりやすくなったと感じる場合は、タンパク質不足を疑ってみる。逆に普段から病気にかかりやすいといった場合は、タンパク質の摂取を増やしてみるのが、一つの解決策になるかもしれません。
タンパク質不足の症状や影響をまとめると
タンパク質不足の症状や影響について様々なものを見てきましたが、最後にその症状や影響をまとめておきます。
- 筋肉がつきにくい・筋肉が萎縮する
- 新陳代謝の低下
- 体重が落ちにくい・太りやすい
- 集中力の欠如・学習能力の低下・思考力の低下
- コレステロール値が安定しない
- 気分が冴えない・うつ症状が出る
- 元気が出ない・疲れやすい
- よく眠れない
- 毛が大量に抜ける
- 月経周期が乱れる
- 消化機能が正常に働かない
- 怪我をしやすい・傷が治りにくい
- 免疫力の低下・病気にかかりやすい
タンパク質不足の症状や影響|うつや筋肉・筋トレのパフォーマンスにまで!?のまとめ
タンパク質は人体において、最も重要な栄養素。そのタンパク質が不足してしまうと、様々な症状を引き起こします。
普段は筋トレの効果を上げるために何気なく摂ってるタンパク質も、このように見ていくと、もっと根本的に大切なものであることが分かりますね。