水泳は腹筋を割るために効果的な筋トレであることはあまり知られていないので、その理由を確認しながら水泳の魅力を理解し、さらには水泳の能力を高めるちょっとした腹筋筋トレメニューも紹介していきます。
今現在、お腹周りに脂肪がのっかっているなんて人は、腹筋の筋トレをしただけではいつまでたっても納得のいく腹筋を手に入れることはできません。
そんな時に普段のトレーニングメニューに水泳を取り入れてみるのは、効率的に脂肪燃焼をおこない、腹筋の引き締めるためにはとても効率のいい運動になります。
今回は腹筋を割るためにも水泳に取り組んでみたい理由を確認しながら、水中で腹筋の引き締めに効くちょっとしたエクササイズを紹介し、最後には、水泳能力を高める腹筋の筋トレメニューも紹介していきます。
目次
水泳が腹筋を割るために効果的な理由
水泳はなぜ腹筋を割るためおすすめなのでしょうか?
まずは、バキバキの腹筋(いわゆるシックスパック)をつくるためにも大切なポイントを確認しながら、水泳が腹筋を割るために効果的な理由を確認してみましょう。
脂肪燃焼がとても高いから
「腹筋を割る」という言葉を聞くと、いかにもお腹の筋肉をイジメ抜く筋トレが必要そうに感じますが、実は腹筋を割るためには、筋トレよりも「脂肪を落とすこと」の方が大切。
筋線維の太さは人それぞれ違うため、腹筋の厚さは違ったとしても、そもそもシックスパックというのは誰しもがもっているもの。(厳密にいうとシックスではなくフォーやエイトの人もいますが。)
外から割れた腹筋を確認できない場合の大抵の理由は、お腹周りの筋肉に脂肪がのってしまっているから。
つまり腹筋をわるには有酸素運動のように、脂肪燃焼効果が高い運動をおこなえば、割れ方の強弱はあるにしてもシックスパックが見えるということです。
水泳は泳ぐ速度や種目によって変わるものの、中〜高負荷の有酸素運動。しかも水の中で運動を繰り返すため、関節への負担が少なく、安全に長時間おこない続けられる脂肪燃焼にもおすすめの有酸素運動なんです。
水泳がもつ具体的な脂肪燃焼効果
実際に、水泳がもつとされる脂肪燃焼効果(カロリー消費量)を、米国最大の総合病院で、最も優れた病院としても評価されているMayo Clinic(メイヨークリニック)が発表しているデータで確認すると次のとおり。
体重73kg | 体重91kg | 体重109kg | |
低〜中強度の水泳 | 423kcal | 528kcal | 632kcal |
高強度の水泳 | 715kcal | 892kcal | 1068kcal |
水中でのエアロビクス | 402kcal | 501kcal | 600kcal |
高強度の水泳は、一部の競泳選手がおこなうものとして参考程度にしておくとして、それ以外の低〜中強度でおこなう水泳のカロリー消費を確認すると、日本人男性の平均に近い73kgの体重の人が普通に水泳をおこなった場合、1時間におよそ423kcalの脂肪燃焼ができます。
また、水中でエアロビクスのような動きを続ける場合は、402kcalの脂肪燃焼が確認できます。
ここで比較するためにも、他の運動の数字をみてみると以下のとおり。
体重73kg | 体重91kg | 体重109kg | |
ランニング(時速8km) | 606kcal | 755kcal | 905kcal |
サイクリング(時速16km以下のレジャー目的) | 292kcal | 364kcal | 436kcal |
ウォーキング(時速約5.5km以下の早歩き) | 314kcal | 391kcal | 469kcal |
一般的な人がおこなう水泳での脂肪燃焼効果は、時速8kmでおこなう中強度のランニングがもつ脂肪燃焼効果よりは弱いものの、中強度のサイクリングや早歩きよりはカロリー消費が高いのが分かります。
さらに、関節への負担を考えた場合はランニングよりも優れているため、
- 体重が重くて地上の運動だと負担が大きい人
- もともと膝に不安を抱えている人
- 安心して長時間運動を続けたい人
などは腹筋を割るための有酸素運動として水泳はひとつのおすすめな選択肢になるといえます。
水泳は腹筋を鍛える効果もあるから
さらに水泳自体も腹筋を鍛える効果をもっています。
水泳は動きの中で両手両足を動かすだけでなく、体全体を動かして前に進んでいくことになります。
その際、上半身と下半身を連動させるために体幹の筋肉が使われることになり、その中にはもちろん腹筋(お腹前面の腹直筋やお腹側面にある腹斜筋)も含まれます。
結果として水泳をおこなうことは、常に腹筋をある程度の負荷で緊張させている状態になるため、意識しなくてもちょっとした腹筋の引き締め効果を得ていると考えられるのです。
腰周りも強化できるから
そしてシックスパックの逆側、つまり腰も水泳を通して強化できるという点も水泳が腹筋を割るためにおすすめな理由。
人間の体には、ある動きを主導する主働筋とその逆にブレーキをかけるようにしてはたらく拮抗筋が存在するように、表と裏のような関係で別々の筋肉がバランスを保つように存在しています。
しかしこのバランスが崩れてしまうと、その不均衡により思わぬ痛みや怪我につながってしまう可能性が強くなってしまうことがあります。
例えば腹筋だけを筋トレで強化して背部の強化をおろそかにした場合、姿勢が前傾気味になってしまったり、腰椎への緊張による痛みの発症リスクが高くなってしまいます。
一方で水泳の場合は、動作の中で体幹全体を使っていくため、お腹だけでなく腰の筋肉もバランスよく使っていくことになり、健康的そして機能的に腹筋を鍛えていけると考えることができるのです。
この理由からも体幹を引き締めて、割れた腹筋を手に入れるエクササイズとして水泳は優れているといえます。
腹筋を割るために取り入れたいちょっとした水泳筋トレ
水泳は好きな形でおこなっても脂肪燃焼効果を手に入れられ、さらに腹筋にも効いてきますが、ここではより腹筋に効かせられる水中でおこなう簡単な筋トレをいくつか紹介しておきます。
普段の水泳の中で、気が向いた時におこなってみましょう。
水泳筋トレ①:ビート板キック
ビート板キックは、ビート板を利用して体が浮きやすい状態をつくりながらいわゆるバタ足をして前方へ進んでいく水泳方法。
両足を力強く蹴る動きの中で、お腹前面の腹直筋(下部)と骨盤深層に位置する腸腰筋などを鍛えていきます。
- ビート板を体の前に置いて握ります
- 体を浮かせ、床と平行になるようにします
- バタ足を開始し、前方へ進んでいきます
- この時、おへそが背中の脊椎に近づくようなイメージでお腹を引き締めながら、プールの底につかないようにして進んでいきます
- プールの端まで移動しましょう
水泳筋トレ②:水中パイク
水中パイクは水の中で体幹を曲げ、Vの字を繰り返しつくる動作をおこなう水泳筋トレ。
体幹を曲げる動作は腹筋の腹直筋が主働筋として働くので、シックスパックの腹直筋をダイレクトに刺激するためにも効果的。
地上でおこなうクランチと違って、腰を傷めないで腹直筋を動かし続けられるのも水中パイクの利点です。
- 体を浮かすため、膝を曲げてプールの底を蹴り上げます
- 腰を曲げ、両足をまっすぐ伸ばして、体がVの字になるような姿勢をつくります
- 体前面は上に向くようにして、顔は水面へ出しておきましょう
- 腹筋の収縮を意識しながらおこなっていきます
- 両腕は後ろへ押すように動かして、浮いた状態をサポートします(これにより、上腕三頭筋も鍛えられます)
- その後足を伸ばし、再度Vの字を作るようにして10回程度繰り返していきます
水泳筋トレ③:水中サイドベント
サイドベントは、体幹を横側に倒す体幹側屈をおこなうトレーニング。
体幹の側屈には、お腹の横についている腹斜筋を使っていくことになるため、プールの中で立って休憩している間などに水中サイドベントをおこなってお腹の横も引き締めていきましょう。
- プールの中に立ちます
- 肩まで浸かるぐらいの深さがおすすめです
- 体を片側へ傾けていきます
- 顔のサイドが水面につくぐらいまでを目安に曲げていきましょう
- 水の抵抗力に対して腹斜筋を使っていきます
- その後最初のポジションに戻して、片側を10回繰り返します
- 次に逆側も同じように10回傾けていきます
体を倒す方の手に浮力のあるもの(例えば小さな浮き輪など)を握っておこなうと、その浮力が抵抗力となり体を横へ曲げる際に、さらに負荷を増すことができます。
水泳筋トレ④:ドルフィンキック
ドルフィンキックは、イルカのような動きをしながら前進していく泳ぎ方。
体幹を前後に動かしていく中で、お腹の腹直筋と背中の脊柱起立筋を鍛えていけるため、お腹と腰回りをバランスよく強化するためにもおすすめ。
- 体を真っ直ぐにした状態で浮きます
- この時、両腕は体の横へ伸ばしておきましょう
- 体を縦に波打つように動かしていきます
- 胸を下の方へ動かし、おしりは上に上げていきます
- 次に胸を上の方へ動かし、お尻を下に下げていきます
- この波の動きを繰り返すことで、体幹の前面と後面が引き締められていくことになります
- 息継ぎをする時は頭を水面より上に上げておこないましょう
- プールの端まで泳いでいきます
水泳に必要な腹筋を鍛えたい場合に効果的な筋トレ
今まで「腹筋を割るために水泳が効果的」という視点でみてきましたが、逆に水泳のパフォーマンスを高めたい場合におこなっておきたいちょっとした腹筋の筋トレメニューも紹介しておきます。
腹筋を割るために水泳をおこなうのではなく、水泳のパフォーマンスを高めるために腹筋を強化しておきたいという人は参考にしてみてください。
水泳用腹筋筋トレメニュー①:プランクシリーズ
プランクは体幹トレーニングとしても効果が高く、お腹周りから背中まで体幹全体を強化するためにもおすすめな筋トレ。
プランクで腹筋を中心に、それ以外の体幹の筋肉も強化しておけば、体全体の動きを連携させながら、効率よく水中でのストロークをおこなっていくことができます。
次の3つのプランクを順番に1セットずつおこなって、2~3周繰り返していきましょう。
基本的なプランク
- 床にうつ伏せになります
- 肘とつま先を床につけ、体を床から離します
- 腹筋に力を入れ、体を一直線に保ちましょう
- 30~60秒を目安におこなっていきます
サイドプランク
- 膝を伸ばし、体を真っ直ぐにして横向きに寝ます
- 肘を肩の真下において、体が一直線になるように腰を浮かします
- 姿勢を維持して静止しましょう
- 30~60秒を目安におこなっていきます
スーパーマンプランク
- 基本のプランクの姿勢を作ります
- 対角線上にある左足と右手を同時に上げて、20~40秒維持します
- 今度は逆に、右足と左手を同時に上げて、20~40秒維持します
水泳用腹筋筋トレメニュー②:体幹回旋シリーズ
水泳にはお腹の前面にある腹直筋だけでなく、体幹を横に倒したりひねったりするためにはたらく腹斜筋も大切なのは触れたとおり。
その腹斜筋を強化していくために、体幹をひねる体幹回旋をおこなう筋トレ種目を2つ続けておこなっていきましょう。
ケーブル・リバースウッドチョップ
- ケーブルマシンの前に横向きで立ちます
- ロープーリー(下側の滑車のケーブル)を両手で握ります
- この時、胴体はひねってケーブルマシンの方へ向けておきましょう
- 両腕は伸ばしておきます
- ロープーリーを斜め上方向へ引っ張っていきます
- 両腕は伸ばしたままにして、あくまでも体幹をひねる動きで動かしていきます
- 最初のポジションへ戻り繰り返していきましょう
- 片側15回を目安におこない、逆側もおこなっていきます
- 3セットを目安に繰り返していきましょう
ワイドスプレッド・Xクランチ
- 両手両足を思い切り広げ、バンザイの格好で仰向けになります
- 両腕は伸ばして頭上へ広げ、両足も伸ばして広げておきましょう
- Xのような形になります
- 両腕両足を伸ばしたまま、対角線上に体をひねっていきます
- 右手が左足に近づいていくようにします
- この動作を左右交互におこないながら、合計20~30回程度を目安に3セット繰り返します
水泳は腹筋を割る効果的な筋トレ?水泳能力をあげる腹筋メニューのおまけつき!のまとめ
水泳が腹筋を割るためにおすすめな理由からちょっとした水泳筋トレの方法、そして水泳の能力を高めるための腹筋筋トレメニューをみてきました。
脂肪燃焼をおこないながら腹筋もそれなりに鍛えていける水泳もトレーニングメニューに加えて、理想の腹筋のゴールへ近づいていきましょう!