いきなりですが、下腿三頭筋という言葉、知っていますか?実はこれ、ふくらはぎの筋肉の正式名称なんです。
「ふくらはぎの筋肉」っていうのは聞いたことあるけど、その正式名称は「下腿三頭筋」と呼ばれているのを知っている人は少ないんじゃないかと思います。
むしろふくらはぎの筋肉としては、ヒラメ筋や腓腹筋の方が有名なんじゃないかと思ってしまうぐらい。
だけど、多くの人が気にするふくらはぎの筋肉だからこそ、しっかりと正式な名前やその仕組み、そして筋トレやストレッチなどに関しても必要なことを確認しておくべきだと思います。
今回はそんなふくはらぎの筋肉、正式名称「下腿三頭筋」について詳しくみていきましょう。
目次
下腿三頭筋(かたいさんとうきん)とは?
下腿三頭筋のことを一言で表すなら「ふくらはぎの筋肉」以上!となります。
といわれても、もっと具体的に説明していくのが今回の趣旨なので詳しくみていくと、ふくらはぎの後面にはヒラメ筋と腓腹筋という2つの筋肉がついていますが、その総称のことです。構造としては、腓腹筋がヒラメ筋の大部分を覆うかたちとなっています。
三頭筋という部分の文字のとおり、3つの起始部をもっていて、うち2つが腓腹筋の起始部、残り1つはヒラメ筋の起始部となります。
下腿三頭筋の機能と働き
日常生活において
下腿三頭筋とは、日常生活においてある意味最も大事な筋肉だといえます。
それはなぜかというと、立った姿勢においてはほぼいつも必要な筋肉といえるからです。
例えば、下腿三頭筋のヒラメ筋は持続的な筋活動を得意とし、主に体が前に倒れないようにするなど、不自由ない日常生活を送るにあたってとても大切な活動を支えます。
逆に腓腹筋は、持続的な活動というよりは、速筋(瞬発力の筋肉)が多いため、日常生活においては何か高い物を取るために背伸びしたり、坂道や階段を力強く駆け上がるなどの活動に必要です。
基本的には立った状態の活動全般に渡って必要とされますが、特に、かかとが地面から離れてからつま先が地面から離れるまでの間に最も強く収縮して活動します。
スポーツや運動において
下腿三頭筋はその性質から、立ち姿勢のスポーツ全般にとって必要な筋肉です。ランニング、ダッシュ、ジャンプなどふくらはぎの動きが関与するスポーツや運動では積極的に働きます。
ランニングなどで、繰り返しふくらはぎの活動が使われても疲れないようにするために、ヒラメ筋の発達、逆にランニングやダッシュ、そしてジャンプなどで瞬発力を出してパフォーマンスを上げるためには腓腹筋の発達が必要になります。
とはいえ、この2つの筋肉は密接につながりあって下腿三頭筋を構成しているので、下腿三頭筋を筋トレすることで、両方の筋肉とも一緒に鍛えられていくことになります。
下腿三頭筋の特徴
筋体積の割に力強い
ヒラメ筋や腓腹筋、つまりふくらはぎの筋肉の特徴として、筋肉の体積がそこまで大きくない割には発揮できる力がとても強いといった特徴があります。
これは下腿三頭筋の筋肉の構造が理由となりますが、筋繊維が短く、羽状筋と呼ばれる構造になっているからです。
いいかえると、短い筋肉が物凄い密度で詰まっている状態なのです。この密度が濃い密集した筋肉が、短い距離を同時に動くことで、全体としての体積が小さいのにも関わらず、とても強い力を発揮できるのです。
有名な第2の心臓でもある
よく「第2の心臓」とかいう言葉を耳にしたことがあると思いますが、それがまさにこの下腿三頭筋です!
人間は他の動物と違う特徴として、二足歩行をするということです。でも、それによって心臓の位置が重力に逆らって、より高くなってしまった結果、心臓だけでは血流を体全体に巡らせるのが大変になってしまいました。
そこで心臓の活動を助けるために発達してきたのが、ふくらはぎの下腿三頭筋。下腿三頭筋は「ミルキングアクション(乳搾りをするように血液を筋肉の伸縮によって心臓へ送り返すこと)」という機能をもっていて、それによって足に血液を滞らせることなく、血流を巡らせる大事な働きをもっています。
そのため、第2の心臓といわれているのです。第2の心臓を活発化させるためにも、下腿三頭筋の筋トレは必要ですね!
アキレスの矢の話で有名
下腿三頭筋が関わっている体の中でも大切な腱といえば、アキレス腱です。ギリシャ神話の英雄「アキレス」が、その部分を矢で射抜かれて命を落としたことは有名です。
そんなアキレス腱ですが、ギリシャ神話のとおり、実は人間にとってはとても重要な腱でもあります。なぜかというと、歩行する際や走行時、他にもかかとを持ち上げたりする時など人間の基本的な動作において必要だからです。
しかし実はアキレス腱は大きな力が瞬間的にかかることによって、アキレス腱断裂や炎症を起こしてしまったりと障害が起こりやすい部分でもあるんです。
その障害を防ぐためにも、アキレス腱につながる下腿三頭筋のストレッチやトレーニングをおこなっておくことは大切になります。
下腿三頭筋は肉離れしやすい
肉離れを経験したことがある人だと分かると思いますが、とても痛いですよね。
そんな肉離れを起こしやすい箇所といえば、太ももとふくらはぎだと思います。つまり、下腿三頭筋も肉離れを起こしやすい筋肉だといえるんですね。
特に連続して大きな負担が下腿三頭筋にかかりやすいランニングやダッシュ、テニスのステップなどで突然肉離れが起こります。
原因としては様々なものがあり、例えば突然瞬間的に下腿三頭筋に大きな負荷がかかってしまったとか、もともと筋肉が疲れていたなどが多いです。
よく肉離れが起こりやすい下腿三頭筋だからこそ、ストレッチや筋トレなどは常日頃からおこなっておくべき場所になります。
下腿三頭筋のストレッチ方法
下腿三頭筋をケアしてアキレス腱の障害や肉離れを防止するために、ストレッチ方法を知っておきましょう。下腿三頭筋に効果的なストレッチをいくつか紹介していきます。
下腿三頭筋のストレッチ①
- かかとを10~15cm程度離して壁に向いて立ちます
- つま先を壁に立てるようにしてつけて、足の甲がそり返るようにします
- その状態で下腿三頭筋がストレッチされるのを感じたら維持しましょう
下腿三頭筋のストレッチ効果
壁さえあればどこでもできて、さらに前に体重をかけると簡単にストレッチ効果を高めることができるので、誰にでも手軽に効果を感じられるはずです。基本的には、この方法だけで下腿三頭筋の十分なストレッチ効果があります。
下腿三頭筋のストレッチ②
- 足を前後に開いて立ちます
- かかとを地面につけた状態で体重を前に移動していきましょう
- 下腿三頭筋がストレッチされているのを感じたらその姿勢で維持します
下腿三頭筋のストレッチ効果
壁が周りにない場合には、このオーソドックスな下腿三頭筋のストレッチをおこなっていくようにしましょう。場所も問わずどこでもでき、ストレッチ効果も抜群なのでおすすめです。
下腿三頭筋におすすめの筋トレ
下腿三頭筋を常日頃から強化しておけば、瞬間的に負担がかかっても耐えられる強さに発達します。そうすれば、ちょっとやそっとのことでは全く問題ないふくらはぎができあがりますよ!
そのために、おすすめな下腿三頭筋の筋トレを紹介します。
下腿三頭筋の筋トレ①:シングルヒールレイズ
- 椅子や壁に手をあて、バランスをとりましょう
- かかとを地面からゆっくりと離していきます
- 背伸びのような形になります
- かかとを上げきったらゆっくりと戻していき、繰り返しおこないます
下腿三頭筋への筋トレ効果
この下腿三頭筋のトレーニング方法は、ヒラメ筋と腓腹筋両方を刺激し、底屈動作の強化をはかる効果があります。さらにその効果を高めるために、椅子のステップなどがあれば、その上に乗っておこなうことでより下腿三頭筋の伸展の幅が出て、筋トレの効果を高めることにつながります。
下腿三頭筋の筋トレ②:カーフレイズオンレッグプレスマシン
- レッグプレスマシンに座ったら足裏全体ではなく、つま先だけをおきましょう
- つま先を伸ばして下腿三頭筋を収縮させていきます
- つま先を伸ばしきったらゆっくりと戻して繰り返します
下腿三頭筋への筋トレ効果
下腿三頭筋の筋トレとして筋トレマシンを利用するため、思い切りふくらはぎへ負荷をかけることが可能になるトレーニングです。結果的に、下腿三頭筋の発達も他のトレーニングと比較して、より促す効果があるでしょう。
また、筋トレマシンであるため重量を自分で自由に設定することができ、自分のレベルの合わせて筋トレをおこなうことができます。
下腿三頭筋とは?はたらきや特徴を知って筋トレやストレッチにつなげよう!のまとめ
ふくらはぎの筋肉は頭で理解していたけど、下腿三頭筋としてしっかりと理解したのは初めてという人も多いかと思います。
ふくらはぎを鍛えたいという人やストレッチしたいという人は多いので、その筋肉である下腿三頭筋の作用を理解して、必要なトレーニングなどを取り入れていくようにしましょう。
たくましいふくらはぎはかっこいい後ろ姿をつくるうえでは欠かせない部位です!