パワーリフターのトレーニングに関して6つのポイントを紹介していきます。パワーリフティングのパフォーマンスを高めていくためにも確認してみましょう。
パワーリフターのトレーニングは、同じ筋トレであってもボディビルといったボディメイキングを主軸においたトレーニングやその他のスポーツでおこなうトレーニングとはまた違ったものになってきます。
パワーリフティングは、スクワット・デッドリフト・ベンチプレスの3つの種目において、いかに重い重量を挙上できるかを競う競技。
そのため、より高重量を扱える能力を伸ばしていく筋トレを考えて、トレーニングしていくことが大切になっていきます。
そこで今回は、パワーリフティングのパフォーマンスアップを軸において、パワーリフターに必要な能力を伸ばすための6つのトレーニングポイントを見ていきます。
目次
パワーリフター向けトレーニングTIPS
パワーリフターのトレーニング①:基盤となる筋力を徹底して強化
パワーリフティングにおいてパフォーマンスを高めていくためには、なんといっても徹底して、まずは基盤となる筋力を鍛えていくことが大切。
まずは徹底して基盤となる筋肉増強を目指していくことが最優先事項となり、特に次の4点を頭に入れて、トレーニングしていくのがおすすめ。
- 姿勢とフォームを徹底する
- 小さな違いの大切さを理解する
- 適度で十分な頻度でおこなう
- フォーカスを絞る
この4つがそれぞれどのようなものなのか、もう少し詳しく次に見ていきましょう。
①:姿勢とフォームを徹底する
筋トレで最も重要なのは姿勢とフォーム。
スタートポジションや動作中、そしてフィニッシュ時において、正しい姿勢を保ったり正しいフォームで動作をおこなうことは、筋力の強化や関節などの安全性を維持するために大切なこと。
また、リフティング時の筋力発揮の効率を高め、より重い重量を挙上するためにも必要なことです。
パワーリフターとして能力を高めていくなら、まずは基本中の基本である正しい筋トレのフォームや姿勢を徹底して抑えていくようにしましょう。
②:小さな違いの大切さを理解する
姿勢やフォームに関連することとして、小さな違いが最終的には大きな違いとなって現れてくるという点もしっかりと頭に入れて、トレーニングしていくようにもしましょう。
例えばベンチプレスをおこなう際、グリップ幅のちょっとした違いや床に置いた両足の踏みこみ方、他にもベンチに仰向けになった際の肩甲骨の寄せ方など、少しの違いでリフティング時の力の出し方が変わってきます。
すると、同じ筋トレ種目であっても微妙に効果が変わってくることになり、長期的にみた場合は「塵も積もれば山となる」の原理で、小さな違いが大きな結果の違いとなって現れてくることになります。
③:適度で十分な頻度でおこなう
パワーリフターにとっての必要な筋力や技術を習得するためには、トレーニングを十分に積まなくてはなりません。
月にたった2~3回のトレーニングだけで、パワーリフティングで実績を残せるほどの筋力やテクニックを習得するなんてことは、まず無理な話。だからといって、1週間に6日間も筋トレBIG3をおこなえばいいというわけでもない。
大切なのは、十分で過度にならない量でトレーニングを進めていくということ。
最低週2回のトレーニングというのを必要条件と考えておき、それ以上のトレーニングが必要かどうかは、自分のコンディションや練習内容、目指す目標などによって調整していきましょう。
④:フォーカスを絞る
パワーリフターが注意力散漫な状態に陥って、目的を見失った多種多様すぎるトレーニングを筋トレメニューに詰め込んでしまうというのはよくあることです。
例えば、パワーリフティングで挙上できる重量を増やしたいと思っている人にとって、ダンベルカールやリストカールなどといった種目はそこまで必要ないはずです。
もちろん、ベンチプレスで必要な上腕三頭筋とのバランスをとるために、その逆側についている上腕二頭筋も鍛えておくことは有効かもしれませんが、あえて上腕二頭筋だけを集中して鍛えるアイソレーション種目をおこなうよりは、懸垂などの全身の筋肉を鍛える種目を代わりにおこなった方が、パワーリフターにはより効率的。
パワーリフティングのパフォーマンスを高めたいなら、取り組む筋トレ種目を何も考えずに多様化するのではなく、焦点を絞って集中して鍛えていくようにしましょう。
パワーリフターのトレーニング②:徹底的に体幹を鍛える
体幹の強さというのも、パワーリフティングをおこなううえでとても大切。
体幹がしっかりすることで高重量のバーベルの挙上であっても、毎回同じ動作をおこなえる「再現性」を高めていくことができるようになります。
これは体幹力が高いからこそ、体のバランスが崩れにくくなり「ブレない基盤」ができあがるからなのです。そのブレない基盤をつくってこそ、初めて学んだ技術を応用してより高いパフォーマンスを毎回発揮していけるようになるのです。
また、体幹は上肢(腕)と下肢(脚)の間で力を伝達する大切な働きももっているため、全身から大きな力を生み出すためには必要不可欠。
そして、パワーリフティングを考えた場合、体幹の中でも特にお尻から腰、お腹周り、そして脊柱周りを鍛えて正しい姿勢を保っていられるようなトレーニングをしていくのが効果的です。
スクワットやデッドリフトなどを通しても、体幹周りは強化していくことが可能ですが、それに加えて次のような筋トレ種目にも取り組んでいってみましょう。
- プランク
- ファーマーズウォーク
- バーベルランジ
- オーバーヘッドプレス など
この中でも、プランクやファーマーズウォークは長めの時間おこなうようにして、高負荷を扱っているあいだも正しい姿勢を維持できるような体幹をつくりあげていけば、安定して高いパフォーマンスを出していけるようになります。
パワーリフターのトレーニング③:呼吸も忘れずに
全身の筋肉を使って大きな力を発揮していくためにも、より大きなパワーを出すための呼吸法を習得していくことも重要。
高重量のリフティングに有効な呼吸法をマスターできれば、肺の中に十分な空気を取り入れることで、筋肉へ酸素をしっかりと送って発揮できる力を高めたり、体幹や姿勢をさらに安定させることにもつながってきます。
筋トレにおいて、基本となる正しい呼吸は、
- 筋肉が短縮する時(コンセントリック/力を出して挙上する時)
- →息を吐き出しながら
- 筋肉が伸張する時(エキセントリック/動作を戻す時)
- →息を吸いながら
となりますが、パワーリフティングの本番で普段より大きな重量を上げていくためには、次の方法(バルサルバ法)が有効になってきます。
- リフティング前
- →空気を吸い込んで息を止める
- →腹腔や胸腔の内圧を高めて体幹をさらに安定させる
- →体幹が強化されることでより大きな力を発揮できる土台ができる
- リフティング中
- →息は止めておく
- →挙上時に最も困難な局面であるポイントを超えやすくなる
- リフティング後(リフティングのトップポジション)
- →息を吐く
このように、息を止める「バルサルバ法」といったテクニックを用いることで、筋肉が発揮できる力をさらに高めて、より重量の大きなウエイトを挙上することができるようになります。
ちなみに、この呼吸法を利用して体幹を安定させるためには、「鼻から深く息を吸い、腹式呼吸をおこなって腹部全体に空気を満たす」というポイントを抑えながらおこなっていきましょう。
また、リフティング中に息を止める行為というのは、血圧を急上昇させたり酸欠を引き起こすことで思わぬ事故につながりかねないため、細心の注意を払いながらおこなっていくことが重要です。
パワーリフターのトレーニング④:握力を強化する
パワーリフターとして大成したいなら、強い握力というのも必須になってきます。
これは単純明快なことで、例えばデッドリフトをおこなう場合、強力な握力がないと高重量のバーベルを握って引き上げることができません。
さらに、握力を強化することで、神経系を刺激したり、肩を安定させることにもつながってくるとされています。
このようなことから、握力の強化というのはパワーリフティングでより重いウエイトを挙上していくためには必須で考えていくべきトレーニングのポイントであることが分かります。
ちなみに、パワーリフティング用の握力の強化に最も効率的で、よりダイレクトにパワーリフティングのパフォーマンスにつながる実践的なものとしておすすめなのが、バーベルを握ってデッドリフトの動きで引き上げた状態を維持する「バーベルホールド」。
このような握力強化方法を利用して、
- 発揮できる力を鍛えたい場合
- →高重量を利用して短めの時間ホールドする
- 筋持久力・耐久力を鍛えたい場合
- →やや軽めの重量を利用して長めの時間ホールドする
といった感じですすめていくのがおすすめです。
パワーリフターのトレーニング⑤:セーフティピンやラックの利用
パワーリフティングでは、できる限り高重量のウエイトを挙上するというのが最大の目的になります。
そのためトレーニングにおいても、同じようにできる限り最大挙上可能重量またはそれに準じた重量を利用して練習するということを、当たり前におこなっていくことになります。
そんな時にグループで練習していたり、トレーニングを補助してくれるスポッターが周りにたくさんいるのであればまだしも、1人でトレーニング(特にベンチプレスの練習)をおこなう際に絶対必須になってくるのがセーフティピンやセーフティラックの使用。
セーフティピンやラックを利用しなければ、最大挙上可能重量でトレーニングするのが怖くて、いつまでも発揮できる筋力を伸ばしていくことができなかったり、特にベンチプレスなどではリフティングに失敗してバーベルを体の上に落としてしまうなど、悲惨な事故につながってしまうことになります。
そのため、トレーニングの際には、必ずセーフティピンやラックを利用するようにして、安全を確保しながらおこなっていくようにしましょう。
パワーリフターのトレーニング⑥:録画してみる
そして、パワーリフティングのトレーニングとしておすすめなちょっとしたポイントが、リフティング時の自分の姿をビデオに録画してみるというもの。
ボディビルのように求める結果が筋肉のサイズや形であれば、リフティングの動作を細かくチェックすることはそこまで必要ないかもしれませんが、筋肉のサイズや形ではなく、挙上できる重量を競い合うパワーリフティングにおいては、リフティング時の動作というのはとても重要になってきます。
リフティング時の関節の使い方や姿勢、呼吸のタイミングなど細かい動作が完璧な形で組み合わさることによって、初めて最高の結果につながってきます。
そのため、自分のリフティングを客観的に確認して、常に改善していけるように動画撮影してみるというのはとても有効な方法です。
自分で確認するのはもちろん、その動画を専門のトレーナーなどに見てもらい、改善点を指摘してもらえれば、より高いパフォーマンスを発揮していけるようになります。
パワーリフターのトレーニング|パワーリフティングを向上させる6つの筋トレポイントのまとめ
パワーリフターに必要なトレーニングのポイントを見てきました。
パワーリフティングのパフォーマンスを高めていくためにも、今回紹介したポイントを抑えながらトレーニングをして、圧倒的な力を身につけていきましょう!