アナボリックは筋肉の合成や同化にとても大切。筋トレで成果を出すなら絶対に理解しておくべき筋トレ用語です。アナボリックの意味やアナボリック状態になるポイントを見ていきます。
筋トレをおこなっている人の多くは、筋肉を大きくしたいと考えているかと思いますが、それにはアナボリックの状態ををつくることがカギとなってきます。
しかし、アナボリックの意味を知らなかったり、聞いたことすらないという人もいると思います。
今回は、筋トレの成果を出していくために超重要な「アナボリック」について、アナボリックな状態とは何なのか。そして、アナボリックの状態をつくるためのポイントはどのようなものがあるを紹介していきます。
目次
アナボリックな状態とは?
「アナボリック」という言葉を、筋トレや筋肉に関わっていると聞いたことがあるかもしてませんが、その意味を日本語で探すと「同化作用の」というものが見つかります。
そのため、筋トレとは関係なく一般的にアナボリックという言葉を使う場合、その意味は「より小さな単体からより大きな物質を合成・同化させる代謝の過程」といったものを指すことになります。
そして、筋トレや筋肉においてアナボリックの状態と表現する場合は、「筋肉が合成・同化されやすい状態」、一般的な言葉でいえば「筋肉が成長しやすい状態」を意味することになってきます。
アナボリックとカタボリック
アナボリックが合成・同化作用を意味するとしたら、もちろんその逆(分解または異化)もあります。それは、カタボリックといわれるもの。
このカタボリックはただ物質を分解するわけではなく、その目的は大きな物質をより小さなエネルギー源に分解することで、人間の活動や同化作用に必要なエネルギーを得ること。
例えば、十分な栄養をとらないで激しい運動をすると、筋肉の分解が起ってしまうといわれますが、激しい運動を続けることで体内にあるエネルギーが切れ、体が生命活動を維持するために筋肉を分解してエネルギーを取り出そうとするからなのです。
ちなみに、それぞれにおける必要なエネルギーについてみると、カタボリックではエネルギーを必要としないのに対して、アナボリックでは筋肉の合成をおこなうためにエネルギーを必要としていきます。
そのためアナボリックの状態をつくるためにエネルギーを必要とし、消費していくので痩せやすい体にもなり、一石二鳥なのです。
アナボリックな状態を目指すことが筋肉の増加につながる
筋トレをおこなって筋肉を大きくしていきたいなら、カタボリックな状態をいかに抑えて、アナボリックな状態を維持しようと努力するかが大切。
そのためにはまず、カタボリックな状態を抑えるために十分なエネルギー源が体にある状態をつくる必要があります。
逆に、もし十分に栄養を摂取しない場合、より高い確率で異化が始まります。そしてその状態を続けると、最終的には健康な筋肉や体の組織を壊してしまいます。
もちろん、常にアナボリックな状態を維持するのはほぼ不可能。しかし、アナボリックな状態をより高い頻度で引き起こし、長く維持していくことは可能です。
このアナボリックのコントロールが、筋肉の増加に影響を与え、筋トレの成果を左右していくことになるのです。
アナボリック(筋肉の合成/同化)な状態をつくるためにおさえるべきポイント
アナボリックな状態について見てきたとおり、筋肉を成長させたいと筋トレを頑張っている場合、アナボリックな状態を引き起こして筋肉の合成(同化)を促すのはとても大切になってきます。
そこで、アナボリックな状態を手に入れて、筋肉を効率的に成長させていくために、アナボリックを引き起こすためのポイントを見ていきましょう。
筋肉の合成に十分な栄養を確保する
筋肉を大きく成長させていくためには、まずはなんといっても栄養が大切。
そして、体の活動を維持して成長させるために十分なカロリーを不足しないように摂取し、同時に必要な栄養を満遍なくとっていくことが、筋トレの成果を最大限に引き出していくことにつながってきます。
特に、高負荷の筋トレをおこなっている人は、その分だけカタボリックな状態に立ち向かう必要があり、よりたくさんのエネルギーが必要。
そのため、筋トレで筋肉を大きくしていきたいなら、筋肉の栄養素として有名なタンパク質(プロテイン)はもちろんのこと、他にも脂質や炭水化物の3大栄養素をしっかりと摂取して、1日の必要なカロリーをとっていくことが大切になってきます。
そして、アナボリックな状態をつくって筋肉を大きくすることを目標にするなら、次の割合で3大栄養素を摂取するのがおすすめです。
- タンパク質(30%)
- 炭水化物(50%)
- 脂質(20%)
アナボリックな状態を維持したいなら食事は忘れずに!
そして、アナボリックな状態を維持しようと食事のことを考えるときにとても大切なことが、「食事を絶対に忘れない」こと。これが、アナボリックな状態をつくるための最も大切な最低条件といってもいいぐらい大切なことです。
いくら、1日に必要な栄養素を1食でとったとしても、アナボリックな状態を維持することは難しくなります。
なぜならアナボリックな状態を頻繁に引き起こして維持しようとすると、常に血中にアミノ酸が充満している必要があるからです。
1回の食事でアミノ酸(タンパク質)を吸収できる量は決まっているので、1食で1日に必要な分のタンパク質を摂取しても、吸収しきれない分が出てきてしまうので、その分は摂取していないのと同じことになってしまいます。
そのため、最も理想的な食事の方法がボディビルダーの食事方法。2~3時間ごとに1日の摂取カロリーを小分けにした食事を摂取し、常に血流の中へ必要なアミノ酸や栄養を充満させておくことが効果的になってきます。
十分な睡眠を取る
体をアナボリックな状態にもっていくためには、十分な睡眠も必須。
特に筋肉の成長に必要な成長ホルモンの分泌が高まり、就寝中にタンパク質の代謝が効果的に起こってくることになります。
逆に睡眠不足は、無気力状態を引き起こし、トレーニングの効率を低下させてしまいアナボリックな状態を引き起こせないばかりかカタボリックの状態を引き起こしてしまったりという影響が出てきます。
また、睡眠不足は脳の活動に影響を与え、細胞の働きや化学反応を遅らせてしまうといった可能性も指摘されていて、その結果、筋肉の合成・同化にも影響が出てくることが考えられるのです。
ホルモン分泌を活性化する
成長ホルモンや男性ホルモンのひとつであるテストステロンなどは、筋肉の成長を大きく促していくアナボリックな状態をつくるためにはとても大切。
また、これらのホルモンは筋肉の成長のみならず、脂肪燃焼やスタミナ向上など他にも健康に関して多くの有益な効果をもたらします。
そして、この両者の分泌を増やすために大切なのが筋トレ。特に短く高負荷のトレーニングであるHIITなどをおこなうと、その分泌量がとても高くなるといわれています。
他にも成長ホルモンとテストステロンの分泌を増やすためには次の点も確認しておきましょう。
- 成長ホルモン
- 睡眠中(特に22:00~2:00)は成長ホルモンが分泌される
- アルギニンやオルニチンのサプリメントも成長ホルモンの分泌を促すとされる
- テストステロン
- 脂質が多めの食事は分泌を促す
- 亜鉛・ビタミンC・BCAAの十分な摂取もテストステロン分泌を助ける
汚染物質は極力避ける
汚染物質を避けることも、アナボリックな状態をつくり維持するには大切。
汚染物質といっても様々なものがあるかと思いますが、多くの人にとって最も身近で気になるものといえばタバコの煙。
タバコの煙が体内に入ると、コルチゾールというストレスホルモンの分泌が増えます。そして、コルチゾールは筋肉の異化、つまりアナボリックとは逆のカタボリックの状態を引き起こしてしまいます。
また、排気ガスが多く空気が汚れている場所などでは、呼吸によって筋肉へ供給する酸素量に悪影響が出てくることが考えられ、効果的に筋肉の合成がおこなえなくなり、アナボリックな状態をつくるのが難しくなってしまいます。
あまり触れられることはありませんが、こういった汚染物質を避けるというのもアナボリックな状態をつくりあげていくには大切になってきます。
筋トレは太く短く
また、筋トレをおこなうと成長ホルモンやテストステロンが分泌されるため、アナボリックな状態をつくるためにはとても大切になってきますが、アナボリックな状態を狙うなら筋トレの条件を整えることも大切。
基本的にアナボリックを目指すなら、どんなに長くても90分以内に抑えるようにしましょう。筋トレの時間が長ければ長いほど、筋肉の異化がより進んでしまうことになります。
そのため、筋トレの1回のセッションはできれば60分以内に抑え、それ以上長く続く場合は、BCAAのサプリメントなどを摂取して、できる限りカタボリックな状態にならないように抑えていくことが大切になってきます。
(おまけ)アナボリックステロイドとアナボリックの関係
今までアナボリックについて見てきましたが、最後にアナボリックステロイドとアナボリックの関係についても触れておきます。
アナボリックステロイドといえば、筋肉増強剤として有名。
その名前に「アナボリック」とあるとおり、使用することで筋肉中のタンパク質合成が高まり、筋肉づくりの過程が促進されるといわれています。
しかし、実はこのアナボリックステロイドがどのように筋肉の成長へ働きかけるのか、具体的な解明はまだされてなかったりします。
そこで、現在考えられているのが次の2つの要素が、間接的に筋肥大に結びついているのではないかということです
アナボリックステロイドがもつ筋肥大に関係するメカニズム
- 中枢神経に作用してアグレッシブになり痛みにも鈍感になる
- 他の人と比較してよりアグレッシブで攻撃的なトレーニングが可能になる
- 激しいトレーニングをしても苦痛を感じにくい
- トレーニング量が高まり、大きな筋肥大へ結びつく
- 筋肉が太くならないようにするミオスタチンというタンパク質を抑える
- 筋肉のサイズアップを抑える制限が外れることになる
- 筋肥大がより簡単におこなわれていくようになる
つまり、アナボリックステロイドがアナボリック状態をつくりあげるのは、直接的に筋肉の成長へ影響を与えるというよりは、上で紹介した2つの点に影響を与えることで、間接的に筋肉の成長を促していくことになると、現在のところ考えられています。
アナボリックは筋肉の合成・同化に大切!筋トレするなら覚えておきたいことのまとめ
筋肉の合成・同化に大切なアナボリックについて見てきました。
筋トレをおこなって、筋肉の成長を目指している人はたくさんいるかと思いますが、そうであれば今回紹介したアナボリックな状態をつくるポイントをしっかりと抑えながら取り組んでいきましょう。
カタボリックではなく、アナボリックな状態をいかにつくりあげて維持するかが勝負の決め手になりますよ!