筋トレのオールアウトについて確認してみましょう。オールアウトのコツや方法を知っておけば、それだけ筋肉の成長や強化に効果的です。
しかし、筋トレでオールアウトをするにも、コツや方法を知っているのと知らないのでは全く結果が変わってくるぐらい難しいものであり、知識が必要なものです。
そこで今回は、筋トレの成果をより大きくするためのオールアウトについて見ていこうと思います。
まずはオールアウトの概念や効果について見ていき、その後にコツや方法を確認し、最後にオールアウトのデメリットを見ていきます。オールアウトの活用方法を知って効率的に筋肉を成長させていきましょう。
目次
筋トレのオールアウトとは?
筋トレにおいてオールアウトとは日本語に訳した場合、最も当てはまるのが「筋肉の疲労困憊」。もう少し詳しく意味を確認すると、「ひとつの筋トレをこれ以上は筋肉の強度が足りずに挙上することができない時点まで繰り返していくこと」だといえます。
筋トレのオールアウトにはいくつかの種類がありますが、一般的にいわれるオールアウトはコンセントリックオールアウトを指すことが多いです。
コンセントリックオールアウトとは、セットの途中に筋肉を収縮してウエイトを挙上する時に、他者から手助けがないとセットを完了できない状態をいいます。
例をあげるとベンチプレスの場合、バーを下げた後に再度上に持ち上げることができない状態のことです。
筋トレのオールアウトの効果とは?
実は筋トレにおいてのオールアウトの効果については、様々な議論がされており、確実な効果もまだはっきりとは分かっていませんが、これまでの研究などの経験からして、次のような効果があるとされています。
オールアウトは成長ホルモンを促して筋肉の肥大に効果的
オールアウトの状態までトレーニングすることで、成長ホルモンの分泌がとても増えることが研究で確認されています。
その結果、成長ホルモンによって筋肉を成長させて大きくする筋肥大の効果も高いことになります。
これが、オールアウトトレーニングを取り入れている多くのアスリートやボディビルダーが成功している秘訣でもあります。
筋トレで起こる停滞期の打破にオールアウトは効果的
また、オールアウトは、筋トレで起こってしまう停滞期の打破に効果的でもあるとされています。
筋トレの停滞期が起こってくる最大の理由が筋肉の慣れ。同じ動作を同じ負荷で繰り返すことで筋肉が慣れてしまい、それ以上の成長が中々起こりにくくなってしまうというものです。
しかし、オールアウトは常に限界まで筋トレを行うということ。言い換えると、筋肉が慣れないところまで追い込んでいくということです。よって、一定の負荷に慣れてしまった筋肉をさらに追い込み、停滞期を脱出していくために有効になります。
筋トレオールアウトのコツや方法
オールアウトについて見てきましたが、次にオールアウトをするためのコツや方法を探っていきましょう。
オールアウトのコツ&方法①:トレーニング強度はどれくらい?
普段のトレーニングの強度は、オールアウトが適しているか判断するために最も重要なポイントとなります。
トレーニングの強度は持ち上げているウエイトの重さと持ち上げる最大回数(1RM)が関係します。ここで注意しておきたいのが、オールアウトを狙うなら重すぎる負荷は避けるということです。
高すぎる強度のトレーニングを限界まで行うことは、よっぽどパワーリフターや一部のボディビルダーのようにテクニックを習得した人でない限り、筋トレの効果が薄れるどころか、筋肉増強に逆効果となり得るからです。
よって、一般的なトレーニーにとっては、1RMの65%〜85%で行うことがおすすめです。
1RMの65%〜85%であれば重すぎてフォームを崩すこともなく、軽すぎて負荷が軽くなることもなくちょうどいい重さになります。
オールアウトのコツ&方法②:筋トレレベルは?
筋トレのレベルもオールアウトを考える時に大切。筋トレレベルを次の3つに分けて考えていきましょう。
- 初級
- 筋トレを始めたばかりで各エクササイズのフォームなどはまだ未習得
- 中級
- 筋トレのテクニックやフォームなどは習得済み
- 筋トレ経験半年〜2年ぐらい
- 上級
- 筋トレのテクニックやフォームなども相当なレベルで詳しくなっている
- 細かい筋肉への効かせ方なども理解している
- 筋トレ経験2年以上
初級レベルの人は何よりも先に正しいフォームやテクニックを学ぶ必要があるため、初級レベルの人にとってはオールアウトは何もメリットがありません。疲労した状態では正しいフォームを保つことはできないからです。
反対に中級者や上級者の場合、既にテクニックはできあがっているので、体作りや筋力強化のためにもオールアウトを狙っていくのは効果的になります。
筋トレ中級者、上級者であれば、1RMの65%~85%の範囲に抑えながら、確実にオールアウトを狙っていくようにすれば筋肉をしっかり追い込んでいけます。
オールアウトのコツ&方法③:筋トレの目標は?
個人の筋トレ目標はトレーニング内容に大きく影響し、オールアウトが適しているかの判断材料ともなります。
例として、パワーリフターとボディビルダーを比較してみましょう。
- パワーリフター
- パワーリフターは最大の筋力を付けることを目的としているため、比較的重い重量で筋力アップのためにトレーニングする。
- パワーリフターは全身のトレーニングに集中するため、正しいフォームを保つためにかなりのスキルを必要とする。
- ボディビルダー
- ボディビルダーは反対に力ではなく筋肉肥大を目標としているため、比較的軽い重量で筋肥大のためにトレーニングする。
- さらに、ボディビルダーは体の細かい箇所をターゲットとした小さな動きを大事にする。これには正しいフォームの維持はパワーリフターほど重要ではありません。
このようにトレーニングのアプローチ方法に違いがあるため、ボディビルダーはパワーリフターより頻繁にオールアウトをする必要があるといえます。
ボディビルダーのトレーニングは複雑な動きが少なく強度も低いため、オールアウトによるメリットが多くあります。
つまり、自分の筋トレの目標が何であるかを確認して、
- オールアウトを行うべきかどうか?
- オールアウトの強度をどの程度に設定するか?
を考えていくことが大切になってきます。
オールアウトのコツ&方法④:筋トレに対する考え方は?
オールアウトはセットを完了することができない時に達成されます。これは主に筋肉の疲労が原因となります。
しかし、疲労というものはとても個人的な感覚で、外から測定することは不可能。疲労は個人の痛みに対する耐久力や意思の強さ、精神的な要因から成り立つからです。
ある人間が感じる筋肉疲労は、他者にとってはただの不快感かもしれません。そのため、本当にオールアウトの状態までトレーニングをしているのか、実際はちょっときついだけなのか判断するのは難しいのです。
さらに、オールアウトまで筋トレをすることに快感を感じる人がいる一方で、オールアウトを避けてトレーニングする人もいます。トレーニングに関する考え方や体の反応を知ることは、長期的に筋トレを続けていくために大事なポイントとなります。
オールアウトのコツ&方法⑤:どのような筋トレをしているか?
高いスキルやテクニックを必要とする筋トレ種目ほどオールアウトには向いていません。反対に、あまりスキルを必要としないものはオールアウトに適しています。
懸垂やベンチプレス、スクワットなどのシンプルな筋トレ種目は、オールアウトに適していますが、十分に気をつけて行う必要があります。
バイセップカールやレッグカール、カーフレイズ等の単関節運動はよりシンプルな動きでオールアウトに最も適しています。
このように、現在行っている筋トレがどのようなものかもオールアウトをするべきかどうかの判断材料になってきます。
オールアウトのコツ&方法⑥:AMAPの概念を活用する
筋トレのオールアウトを行う場合に、とてもシンプルな考えとしてAMAP(As Much As Possible)、日本語でいうと「できる限り多く行う」というものがあります。
つまり、自分の限界や扱う重量などは考えずに、シンプルにとにかくできる限り多くの回数を繰り返してみるというテクニックです。
このAMAPを意識するためのコツとして、次の方法を用いてみましょう。
最後のセットにAMAPを採用してみる
仮にベンチプレス10レップ(回)を1セットとして、通常3セットで組んでいた場合、最初の2セットまでは10レップで行い、最後の3セット目に、AMAPを採用します。
つまり最後の3セット目は、挙上できなくなるまで回数を繰り返し、オールアウトを狙ってみるということになります。
毎回のセットにAMAPを採用するのは、後ほど説明するオーバートレーニングにつながる可能性もあるので、基本的には避けるようにしましょう。
AMAPを筋トレメニューに含める場合は最大4週間を目安に
AMAPを行うことは、筋肉にそれだけ大きな疲労を与えるということになります。
そのため、AMAPを採用する期間をしっかりと決めて、連続で行う場合は最大4週間連続を目安にするようにしましょう。
4週間連続でAMAPを行ったら、その後の数週間はAMAPを一切行わないようにして筋肉を確実に休ませるようにし、必要であれば再度AMAPを行っていくようにしましょう。
AMAPでオールアウトするならシンプルな筋トレ種目で
そして、AMAPを利用してオールアウトする場合、テクニックなどは考えずにとにかく多くの回数を繰り返すことに集中したいため、必ず単純な筋トレ種目だけで行っていくようにしましょう。
AMAPをデッドリフトやパワークリーンのような種目で行うことは絶対にやめましょう。そうすることがケガの予防につながるのです。
筋トレのオールアウトのデメリット
今までオールアウトの効果やコツなどを見てきましたが、もちろんオールアウトにもデメリットといわれるものが存在します。
筋トレでオールアウトを安全に狙っていくためにも、そのデメリットやリスクも確認しておきましょう。
フォームが崩れて怪我のリスクが高まる
筋トレのオールアウトがもつリスクのひとつが、怪我の危険性が高まるというもの。
これは動作を限界まで繰り返していくことで、筋肉が疲労し、体をどのように使っているのかを正確に感じることが難しくなり、正しいフォームやテクニックで挙上できなくなってくることで起こってきます。
そのため、オールアウトを狙うのであれば、必ずそれまでに正しいフォームやテクニックを習得しておき、体が自然とそれを行えるレベルにまでしておきましょう。
シンプルな動作の筋トレ種目でのみオールアウトを行えばケガのリスクを下げることができます。
オーバートレーニングのリスクが高まる
オールアウトを行うための筋トレでは、基本的にそれだけ筋肉や神経系へのダメージが大きくなります。
その状態を長期に続けていくことはオーバートレーニングを引き起こし、トレーニングの効果を減らしてしまうだけでなく、逆に筋肉が小さくなってしまうといったリスクも高めます。
このオーバートレーニングを回避するためにも、しっかりとした休養を挟んだり、オールアウトを狙うのを一定期間だけに抑えたりすることが大切になってきます。
筋トレのオールアウトとは?コツや方法を確認して筋肉の成長を狙う!のまとめ
筋トレのオールアウトについて見てきました。今回紹介したコツや方法を基に、筋肉を大きく成長させるためにも是非オールアウトを狙ってみましょう。
まだ筋トレを始めたばかりという初心者の人は、ひとまずフォームの習得に集中し、それ以外の中級者以上の人は、オールアウトを上手に筋トレメニューへ取り組んでいくようにしてみれば、今まで以上の成果を達成できるので頑張ってください!