寝る前のプロテイン摂取が持つ効果や、就寝前の摂取におすすめなプロテインの種類、そして摂取量などを確認していきます。寝る前にプロテインを摂取すると、どのような効果があるのでしょうか?
筋トレ前や筋トレ後のプロテインが大切なことは、多くの人が理解しているかと思いますが、実は寝る前というのも、筋肉の成長を促すには抑えておいた方が良いタイミングだったりします。
今回は、就寝前にプロテインを飲んだ場合、どのような効果があるのかを中心に、寝る前に飲むべきプロテインの種類、そして摂取量や注意点などを見ていきます。
※当記事内で「プロテイン」と表記されるのものはサプリメントとしてのプロテイン。「タンパク質」と表記されるものは、栄養素としてのタンパク質として使い分けています。
目次
寝る前のプロテインの「時間」をまずは確認
寝る前のプロテインと一概に言っても、そもそも「寝る前」という時間をまずは定義しないと話が進みません。
基本的に「寝る前のプロテイン」という場合の時間帯は、就寝前30分~2時間ぐらいというのが、おおよその一般的な時間帯であると言えるかと思います。
そのため、当記事内では、寝る前の30分〜2時間を「就寝前/寝る前」の時間として、話を進めていきます。
寝る前のプロテインの効果
さて、寝る前にプロテインを飲む際の時間帯について、確認したところで、早速、就寝前にプロテインを飲むとどのような効果があるのかを確認していきましょう。
カタボリックを抑えてアナボリック状態を保つ!
就寝時というのは通常、6~8時間程度は何も食事を取らないで、体にとってはちょっとした「断食」をしているような時間。
この時間帯には、外部から新たに栄養を体内へ取り入れることがないため、それまでに取り入れられた栄養やエネルギーを徐々に使いながら、体内では筋肉の修復や成長を行っていくことになります。
ここで考えて欲しいのが、もしも寝る前までに十分なタンパク質を体内に取り入れていない場合、長い就寝時間の中で徐々にアミノ酸が枯渇していき、筋タンパク質の合成ができなくなってしまう可能性があるってこと。
体内では、常に筋肉が分解される「異化」と、筋肉が合成される「同化」が繰り返されており、筋肉の合成量が少なくなってしまうと「異化>同化」となり、筋肉が合成されるより分解される量が多くなってしまう、カタボリックな状態が引き起こされてしまう。
基本的に、夕食時に十分なタンパク質を摂っておけばカタボリックは防げますが、そうでない場合はカタボリックが引き起こされ、就寝中に筋肉が多少なりとも分解されてしまう可能性が出てくるのです。
つまり、就寝前のプロテイン摂取が持つ効果の一つが、6~8時間も続く就寝中のプロテインバランス(筋タンパク質の同化と異化のバランス)を、
に保って、アナボリック状態を維持するというもの。
特に夕食で十分なタンパク質摂取をしていない場合などは、就寝前のプロテイン摂取は、望ましい効果を持っていると言えるかと思います。
筋肉の成長を促す!
就寝中は筋肉の成長にとっては、とても大切な時間。というのも、筋肉増強を促す成長ホルモンが、この時間帯に最も多く大量に分泌されることになるからです。
筋肉の成長に必要なものを大まかに分ければ、たった二つのことに分けることが出来ます。
- 刺激
- 原材料
ここで、睡眠時に分泌される成長ホルモンが刺激だと考えると、あとは原材料があれば筋肉の成長が起こってくることになります。そして、その原材料はもちろん、タンパク質が吸収後に分解されるアミノ酸。
つまり、就寝前に十分な量のプロテインを摂取しておき、筋肉の成長に必要なアミノ酸を体内に用意しておくことが出来れば、大量に分泌される刺激(成長ホルモン)によるメリットを全て得ることができ、筋肉の成長を最大化していくことになるわけです。
よって、成長ホルモンが大量に分泌される絶好のタイミングを逃さずに、「とことん筋肉を成長させ尽くしましょう!」というのが、寝る前のプロテイン摂取が持つ効果の一つと言えるのです。
寝る前のプロテインはどんなプロテインを摂るべき?
どんな種類のプロテインでも同じような効果を持っている訳ではないため、就寝時に適した種類のプロテインを選択することが大切になってきます。そこで、就寝前のプロテインに関して考えておくべきポイントが「睡眠の長さ」。
上でも触れた通り、一般的に、睡眠にはおよそ6~8時間程度必要だと考えると、理想的には6~8時間の間、ずっと効果をもたらしてくれるタンパク質が良いということになります。
そのように考えた場合、一般的に最も優れたホエイプロテインは、素早く消化吸収されてしまうため、何も摂らないよりは良いとしても基本的には不適切。そこでおすすめなのが、消化がゆっくりなカゼインプロテイン。
ホエイプロテインとカゼインプロテインには、次のような消化スピードの違いがあるとされています。
- ホエイプロテインの吸収速度
- 8~10g(1時間毎)
- カゼインプロテインの吸収速度
- 3~6.1g(1時間毎)
この数値から見るとわかる通り、ホエイプロテインを30g摂取したとしても、3時間程度しか続かないことになり、血中アミノ酸値を長時間保つためには、就寝前に大量のホエイプロテインを摂取する必要が出てきます。
それに対して、カゼインプロテインであれば、30gの摂取でも、長ければ10時間、短くともおよそ5時間程度はアミノ酸の供給が続くことになり、基本的には睡眠時間を十分カバー出来る程度に、長くゆっくりと血中へアミノ酸を供給していけることになるのです。
寝る前に飲むプロテインの量はどうしたらいい?
寝る前に飲むプロテインの摂取量というのも、おそらく多くの人が持つ疑問の一つ。
寝る前にプロテインを摂取する場合の摂取量というのは、その人の体重・摂取カロリー・目的などによって様々であるため、正確な数値というのは言えません。しかし、その摂取量を考える上で抑えておきたいポイントというのは二つあるとかと思うので紹介しておきます。
① 1日に必要なタンパク質摂取量から計算した数値
まず、就寝前のプロテイン摂取量を考える上で大切なのが、1日に必要なタンパク質摂取量がどれぐらいか把握し、就寝前までに足りていない量を補うというもの。
基本的には、目的別に次のタンパク質量が一日に必要だとされています。
- 特に強度の高い運動はしていない一般人
- 体重1kgに対して0.8~1gのタンパク質
- 筋肉増強を目指すリフター
- 体重1kgに対して1.2~2gのタンパク質
- 持久力・長距離のアスリート
- 体重1kgに対して1~1.4gのタンパク質
例えば、筋トレをして筋肉増強を目指す体重70kgの人が、体重1kg毎に1.5gのタンパク質が必要だとした場合、一日に摂取しておきたいタンパク質量は105g。
仮に、就寝前までに85gのタンパク質を摂取していたとすると、残り20gのタンパク質が必要。
利用しているカゼインプロテインのタンパク質含有量が70%だと仮定すると、およそ28.6gのプロテインを摂取する必要が出てくる。
20÷0.7=28.57(g)
よって、一日に必要なタンパク質摂取量を満たすためにも、28.6gのプロテインを就寝前に摂取しようという考えてになってくるかと思います。
② ただし、一定量以上に飲んでも効果は薄い
しかし、ここで注意してもらいたいのが、プロテインを一度に大量に摂ったとしても、効果が薄くなってしまうため、上限値を設けた方が良いという点。
タンパク質を摂取してから筋タンパク質合成の効率に大きく影響するのは、アミノ酸の一つである「ロイシン」の含有量であると考えられています。
ただ、ここで抑えておきたいのが、一度のロイシン摂取で得られる効果には、上限があります。つまり、寝る前に90gのカゼインプロテインを摂取すれば、30gを摂取した時より3倍の効果があるのかと言えばそうではありません。
そのため、基本的には20g前後、多くても一般的に言われる30gを上限として摂取するというのが良いかと思います。
寝る前のプロテイン摂取量のまとめ
見てきたように、寝る前のプロテイン摂取量を決定する場合は、
・一日に推奨されるタンパク質量に足りていない分を計算する
・およそ2gのロイシンが含まれるプロテイン量を計算する
といった2点を抑えて、カロリー過多にならないように、筋タンパク質の合成を効率化出来る量を決定し、摂取していくというのが良いかと思います。
ちなみに、一回のプロテイン摂取で効率よく吸収出来るのは30g前後までと一般的に言われている点を考慮すると、多くとも30gまでの摂取という上限を設定し、必要な量を摂取していくのがおすすめです。
寝る前にプロテインを飲む際に注意すべきこと
そして、最後に寝る前にプロテインを飲む場合の注意点として挙げておきたいのが、カロリー摂取量を気にするべきという点。プロテイン摂取は、筋肉の成長に必要なタンパク質を補給するだけではなく、同時に多くのカロリーも摂取してしまうことになります。
そのため、就寝前にプロテインを飲む場合は、カロリー過多になってしまわないかを常に気をつけながら摂取していくことが大切。
もしも、就寝前にプロテインを摂取することでカロリー過多になっているようなら、まずはそれ以外の食事を見直して、摂取カロリーの量を調整していうようにしましょう。
寝る前のプロテイン!効果や摂取量などを確認して就寝前に筋トレの効果を最大化!のまとめ
寝る前のプロテインについて、その効果や摂取量、他にもおすすめなプロテインの種類などを確認してきました。
プロテインと上手に付き合えば、筋トレの成果を高められること間違いなし。
筋肉の成長を考えるなら、睡眠前というのもプロテイン摂取の一つのタイミングとして覚えておきましょう!