筋肉痛と筋トレの関係について|筋肉痛のときに筋トレをする際のポイントとは?

  筋肉痛と筋トレについて、その関係から筋肉痛の特徴、さらには筋肉痛時の筋トレで抑えておきたいポイントまでを確認していきましょう。

筋肉痛と筋トレといえば、とても関係が深く、誰もが一度は筋肉痛を経験したことがあると思います。その筋肉痛について「筋肉痛とはそもそもどのような痛みのことを意味するのか?」「筋肉痛の時の筋トレはいいのか?」などの疑問をもっている人も多いはずです。

今回は、その「筋肉痛」をメインとして、筋肉痛の定義をみていき、筋肉痛と筋トレの関係や筋肉痛の特徴、さらには、筋肉痛時における筋トレのポイントなどを確認していこうと思います。

筋肉を成長させるためにも、筋肉痛のことを理解して上手に向き合っていきましょう!

筋肉痛とは?筋肉痛と筋トレの関係は?

一般的にいう「筋肉痛」の定義

「筋肉痛」と一言でいっても、実はそこには大きく分けて2つの筋肉痛が存在することになります。

1つ目は、筋トレや運動直後に筋肉がだるくなったり、重くなったり、痛みを感じたりする場合。これは「早発性筋痛(即発性筋痛)Immediate Muslce Soreness / Acute Muscle Sorensss」と呼ばれるもの。

そして2つ目が、筋トレや運動をした後、数時間~48時間後に徐々に痛みを発していく現象。これは、遅発性筋痛または遅発性筋肉痛(Delayed Onset Muscle Soreness/DOMS)と呼ばれるもの。

「筋肉痛」とひとことでいう場合、一般的には運動や筋トレをした後、数時間後や翌日に起こる筋肉の痛みを指し示すことの方が多いので基本的に「筋肉痛」というのは、この「遅発性筋肉痛」を指す場合がほとんどということになります。

よって当記事内でも、これ以降「筋肉痛」という場合は、この遅発性筋肉痛(DOMS)を意味しながら話を進めていきます。

筋肉痛は筋トレや運動の自然な生理現象

この筋肉痛(遅発性筋肉痛)は、身体活動により筋組織が耐えられる以上の負荷をかけたときに自然に起こる現象。

さらに具体的に説明していくと、筋肉痛はエキセントリック収縮(筋線維が伸びながらも力を出す収縮様式。伸張性収縮やネガティブ動作とも表現される)が引き金とされます。

例を上げると、坂や階段を駆け足で下る場合、登りより太もも前面の大腿四頭筋に筋肉痛が起きやすいと感じたことはないですか?

これは坂道や階段を下る際に、ブレーキをかけてスピードをコントロールする目的で太ももの大腿四頭筋にエキセントリック収縮が起きているからです。

このように、筋肉痛はエキセントリック収縮が引き金となって自然と起こるものであり、その逆のコンセントリック収縮(筋肉を短縮させて力を出す筋収縮)では、ほとんど引き起こることはないとされる生理現象なのです。

そして、筋繊維に起こる微細な損傷が「痛み」の直接的な原因ではないとされています。

筋線維の微細な損傷自体は、トレーニング中にはすでに起こっていることであり、もしその傷が痛みを引き起こすなら、トレーニング中には痛みを感じることになるからです。そのため、筋肉痛の「痛み」の直接的な原因は、筋線維に起こる微細な損傷自体ではないと考えられています。

また、乳酸が筋肉痛を引き起こすという話もありますが、運動後に速やかに血中の乳酸値が下がり、乳酸が筋肉内にずっと残るわけではないので、これまた筋肉痛の「痛み」の直接的な原因ではないと考えられています。

筋肉痛は筋肉発達のサインなのか?

筋肉痛から逃れられる人は存在しません。筋トレ初心者もボディービルダーも週末だけ運動を楽しむ人もプロのアスリートも総じて筋肉痛を経験します。

そのため、特に筋トレ初心者のように慣れない人にとって筋肉痛は、あまり馴染みのない痛みで、とても痛みを感じるかもしれません。

しかし、その痛みを当たり前のように経験していけば筋肉痛は、筋肉を動かして負荷をかけ、負荷に適応して強くなり、次回のトレーニングを以前より楽にできるようになるための「分かりやすいサイン」として考えていけるようになります。

つまり、筋肉成長に関するひとつの「指標」として利用していくことが可能なのです。

必ずしも筋肉痛が筋トレの成果に大切なわけではない

しかし、筋肉痛が発生することは、筋肉が成長するためのひとつのサインと考えることはできるとしても、筋肉痛が発生しないと筋トレの成果に結びつかないというわけではありません。

一般的には、1回トレーニングをすると、次回のトレーニング後の筋肉痛は軽減されます。2回目は少し筋肉痛が残っている状態でトレーニングをすることになるかもしれませんが、3回目になると筋肉痛はほぼ起こりません。

このようなことから、詳しい原因やメカニズムは分かっていないものの、特定のトレーニングに対して筋肉を普段から使っている場合、筋肉痛は起こりにくくなるといえます。

週2~3回のトレーニングで筋力が順調に伸びている時は、通常、2~3日後には筋肉は回復してトレーニングできる状態に戻っていて、その時筋肉痛はあまり起こりません。

このように、筋肉痛は筋トレの成果のひとつの指標となるものの、絶対的なものではありません。そのため、筋肉痛がこないからと筋トレに対してのモチベーションは失くさずに、トレーニングを続けていきましょう。

筋トレを始めたばかりの頃に筋肉痛にならないのはおかしいかも

ただし、筋肉痛が筋トレの成果を出すために絶対に必要なものではないとしても、全く筋トレをしたことがない初心者が、トレーニングを始めるの頃に筋肉痛を経験しないというのは、おかしいと考えられるのも確かです。

筋トレの成果を出すために、毎回の筋肉痛が必ずしも大切でない理由は、そのトレーニングを「継続」しておこなっている場合であり、そうでない場合は、筋肉が慣れていない動きや負荷がかかると筋肉痛が起こってくるはず。

つまり、全くの筋トレ未経験者がトレーニング初期に筋肉痛を感じない場合、そのトレーニングは筋肉の成長に十分でないと考えましょう

また、筋肉には耐性作用があると考えていて、下のようなサイクルであると考えています。(⚠︎当記事独自です)

  1. ある筋トレまたは運動をおこなう
  2. すると、数週間から数か月、予防接種が効いているような状態になる
  3. 次に同じ筋トレや運動をしたときには筋肉の疲労が少なくなる
  4. 痛みも感じにくくなり回復も早くなる

このように、筋肉痛にはある動きや負荷に対して耐性をもつというような特徴があると考えられ、筋肉痛が起こってから一定の期間はその耐性が続いているということです。

そのため、実戦において事前に予想できない体の動きなどをする必要があるアスリートなどは、普段からクロストレーニングなどを取り入れ、事前に様々な身体動作に体を慣らしておくことが有効です。

筋肉痛の特徴を知っておくことは、このように事前の対策をおこなって、常に運動パフォーマンスを高く維持しておくためにも有効になってくるのです。

筋肉痛の時に筋トレをしてもよい?その際のポイントとは?

筋肉痛を発症している期間というのは、基本的に運動のパフォーマンスは普段より下がってしまうことになります。なぜなら、筋肉痛による鈍痛により、無意識に動きへ制限をかけてしまうからです。

また、その筋肉痛を発症している筋肉に関しては、筋力の低下が起こってしまうため、筋肉痛発症後の数日間は、運動能力がピークになることがないため、筋肉痛が起こっている場合は、筋トレは休むというのが基本です。

しかし、筋肉痛は筋トレや運動の中で動かした筋肉にのみ起こるので、筋肉痛が起きている筋肉群を休ませている間、他の筋肉群を鍛えるというのであれば問題はありません。

筋肉痛であっても、筋トレメニューの組み方次第で、問題なく筋トレをおこなっていくことができるといえるのです。そこで最後に筋肉痛の時に筋トレをおこなう場合、抑えておくべきポイントについてみていきます。

違う部位のトレーニングをする

筋肉痛がある場合、その痛みというのは特定の筋肉に起こっていることになります。

例えば、前日に高負荷のスクワットをおこない、下半身に激しい筋肉痛が起こっている場合、翌日は上半身を鍛えてみるというように、筋肉痛の部位を休めながら違う部位を鍛えるというメニューの組み方であれば問題ありません。

部位ごとに筋トレの日を分けるトレーニング方法のことを分割法といい、週に何回もジムに行ける時間的余裕があるなら、分割法でトレーニングをすると、時間を効率的に使えるでしょう。

負荷の軽い運動をおこなってみる

また、負荷の軽い運動やストレッチなどであれば、同じ部位であっても取り入れてみるのが効果的かもしれません。

例えば、前日に150kgのバーベルを担いで、お尻と太ももが筋肉痛になっているとしても、簡単なウォーキングをおこなってみる。

こうすると、体内の血流の循環を活性化させ、筋肉の回復に必要な栄養やエネルギーを循環させることになり、筋肉の疲労回復が早くなるということもあります。

ただし、発症している筋肉痛があまりにも激しいものである場合は、筋肉を完全に休めた方がいいでしょう。

鎮痛剤の服用は気をつける

筋肉痛時の筋トレとして注意しておきたいのが、鎮痛剤を服用している場合。

鎮痛剤を服用すると、筋肉痛も含めた「痛み」に対して鈍感になり、筋肉痛が起きていたとしても、その痛みを感じなくなってしまう可能性があり、痛みを認識できず筋肉痛が起こっている筋肉にさらに大きな負荷をかけてしまうことになります。

この場合、疲労している筋肉へ追い討ちをかけるように、さらに追い込んでいくことになり、オーバーワークになるかもしれません。

筋トレをする際には鎮痛剤の服用は極力避けたり、服用した場合は、トレーニング自体を休むなどの検討が必要です。

痛みを分析する

また、筋トレ中や筋トレ直後に、いつもと違う痛みを感じたら、基本的には筋トレを一旦ストップするようにした方がいいでしょう。

この場合は、いわゆる筋肉痛(遅発性筋肉痛)ではなく、最初に触れた早発性筋痛(即発性筋痛)の可能性が高いです。特にトレーニング中に焼けるような痛みを感じる場合は、即トレーニングをストップすべきです。

即発性の痛みを引き起こす原因はたくさんありますが、中には筋肉の断裂やケガといったことがあるため、この場合は、すぐに筋トレを中止して安静にし、痛みが収まらない場合は病院に行くなどした方がいいでしょう。

筋肉痛と筋トレの関係について|筋肉痛の時に筋トレをする際のポイントとは?のまとめ

筋肉痛とはどのようなものかの解説から始め、筋トレとの関係、さらには筋肉痛の特徴、筋肉痛時に筋トレをする場合のポイントまでをみてきました。

筋トレを続けたり、運動を続けていくためには、筋肉痛との向き合い方も大切な要素。筋肉痛のことを理解して、上手く筋肉の成長に結びつけていきたいものです。

ちなみに、筋肉痛の万能薬は未だ発見されていませんが、マッサージやストレッチ、筋トレ後のタンパク質摂取などは、筋肉痛の緩和に効果があるとされています。

筋肉痛と上手く付き合うためにも、ちょっとした豆知識として覚えておくと不安にならずに頑張れそうですね!