バーベルベンチプレスとダンベルベンチプレス|ベンチプレスを2つの器具で比較

バーベルベンチプレスプレスとダンベルベンチプレスを比較していきます。二つの違う器具で行うベンチプレスは効果も様々。その違いを知っておけば、目的に応じて最適な筋トレが出来ます。

胸部の筋肉を大きく強くするために、広く一般に取り入れられている人気のトレーニングだと言えます。しかし同時に、それほど人気だからこそ、この二つの器具を使ったベンチプレスの違いが気になるといった人もいるのではないでしょうか。

であれば、一度バーベルベンチプレスとダンベルベンチプレスの比較をしてみて、それぞれがどのような効果の違いを持っているのか確認してみたいと思います。

バーベルベンチプレスとダンベルベンチプレスの紹介

バーベルベンチプレスとダンベルベンチプレスの比較を始める前に、まずは簡単にそれぞれのベンチプレスがどのようなものかをおさらいしておきましょう。

バーベルベンチプレスとは?

バーベルベンチプレスは長年、ボディビルダーやパワーリフターのトレーニングのスタンダードとされて来ており、筋力がどれくらいあるかを見るためにまず行う筋トレでもあります。

バーベルベンチプレスは、トレーニングベンチに仰向けになった状態で、ラックにセットしたバーベルを持ち上げて外していくところから始まります。

そして、胸の上へ腕を伸ばした状態でバーベルを移動させて、そこからバーベルが左右どちらかに傾かないようにバランスを取りながら、ゆっくりと下ろせるところまで下ろしていき、その後、バーベルを再度上げていきます。

ダンベルベンチプレスとは?

ダンベルベンチプレスもトレーニングベンチに仰向けになった状態で行います。

ダンベルを両手に握り、基本的には手のひらが脚の方を向いた状態にして、胸の上に腕を伸ばしていきます。両手の幅は大体胴体の丁度外側に位置する程度にします。

そして、肘の角度が90度になる程度を目安に、出来るだけ深くダンベルをゆっくりと下げていき、その後肘を伸ばしてダンベルを押し上げていきます。

バーベルベンチプレスとダンベルベンチプレスの比較

バーベルベンチプレスとダンベルベンチプレスの基本的な情報を確認したところで、早速それぞれの器具を利用したベンチプレスの比較を、次の4つのポイントをを軸にして見ていきましょう。

  • 扱える負荷
  • 可動域
  • 筋肉の対称性
  • 上腕三頭筋への負荷

扱える負荷について

筋トレを行って、筋肉を増強するにあたり、扱う負荷の大きさはとても大切。高負荷の重量でトレーニングを行った方が、他全ての条件が同じ場合、理論的には筋肉増強により効果的であるとされます。

そこで、まずは扱える負荷の大きさについて、バーベルベンチプレスとダンベルベンチプレスの比較をしてみると、バーベルベンチプレスの方がダンベルベンチプレスより扱える負荷は大きいことが分かります。

世界で最も大きな筋トレサイト、bodybuilding.comによると、「The Journal of Sports Science」にて発表された研究では、ベンチプレスの器具としてバーベルを利用した方が、ダンベルを利用した場合より、17%大きな負荷を挙上出来るという結果が出たそうです。

また、一般的にも知られていることではありますが、やはりバーベルベンチプレスの方がダンベルベンチプレスと比較して、扱える負荷に関しては差がありますね。

このことから、特に最大筋力のアップ(発揮できる筋力のアップ)には、バーベルベンチプレスの方が優れていると言えるかと思います。

可動域について

胸の大胸筋は扇の形をした筋肉で、胸骨から上腕骨まで伸びています。腕を身体の前で反対側までクロスさせることができるのは、この大胸筋の働きによるもの。

この動きを水平内転といいます。胸筋が収縮することで上腕が引っ張られ、胸の中心に向かって引っ張られて動くのです。そして、大胸筋を鍛えるなら、この水平内転の力を強くしていくようなトレーニングが効果的になり、そこで、大胸筋の可動域の話が出てきます。

バーベルベンチプレスの可動域

バーベルを使うとき、可動域はより制限されます。バーベルベンチプレスを行うときのことを思い浮かべてみましょう。

手はバーを握って固定されているため、まず、バーベルを上げきった時は、肩に沿ってまっすぐ伸びており、特にそれ以上動かすことは出来ないはずです。

また、逆にバーベルを下げていく時は、胸にぶつかるため、それ以上下げることは出来なくなります。ここでもまた、バーベルを器具として使った場合、可動域に制限が出てきます。

ダンベルベンチプレスの可動域

次にダンベルベンチプレスをする場合を考えてみましょう。

ダンベルを器具として利用した場合、上げきった時でも、手と腕は胸の中心に沿って動くことができます。バーベルのようにバーを持つ手が固定されないため、身体の中心線に向かって、必要であれば上腕を動かすことができるのです。

また、ダンベルを下に下げていく場合も、胸が邪魔になることがないため、より深く腕を下げていくことが可能になり、その分大胸筋がストレッチされていくことになります。

さらに、ダンベルベンチプレスの場合、手と腕を自由に動かすことができるため、ただの上げ下げだけではなく、弧を描くような動きが可能になり、しっかりと水平内転を行っていくことも出来るようになります。

また、筋肉を大きくするためには、ストレッチも大切な要素になってきます。そのため、筋繊維をより最大限に伸縮させることができるので大胸筋を大きくサイズアップするためにはダンベルベンチプレスも行っていくと良いでしょう。

筋肉の対称性について

誰でも利き腕、利き足など、左右どちらかの方が強いものです。たとえば、右利きの人は肩、上腕二頭筋、前腕、手などが、左側よりも力が強かったり、筋肉が大きかったりと左右差があります。

自分では気づいていなかったとしても、力が強い側が弱い方の「補助」をしているものです。

そのままにしておくと、長期的にはバランスの悪さが目に見えて分かるようになり、片側だけ筋肉がより発達し、不安定になってしまうだけでなく、バランスのとれたトレーニングによって得られる、見た目の均衡も損なわれてしまう恐れがあります。

バーベルベンチプレスの場合

バーベルベンチプレスではこの筋肉の不均衡に気づかずトレーニングしてしまっているとも言えます。

これは、バーベルを両腕を一緒に使って持ち上げていくため、どちらか強い腕の方が、もう一方の弱い腕が本来持ち上げるべき負荷を担ってしまうことになり、弱い腕にかかるべき負荷が減ってしまい、筋肉への刺激も少なくなってしまうからです。

例えば、右側の筋力の方が強い場合、右腕が左腕を補助しながら持ち上げたり、力の強い側に身体をねじったりたりして、バーベルをラックから外していくといったことが起こってきます。

その結果、右腕の上腕三頭筋、大胸筋、三角筋が左側よりも大きく発達してしまうなど、さまざまな筋肉の大きさや強度にばらつきが出てしまうことがあるのです。

ダンベルベンチプレスの場合

それに対してダンベルベンチプレスの場合、挙上を行っていく時に、筋肉の不均衡が隠されることがなく、ハッキリと表に現れてくるため、まずその筋トレをやっている本人自身が自覚することが出来ます。

そして、ダンベルベンチプレスでは、強い方が弱い方を「助ける」ことができないため、それぞれの筋肉が独立して働き、弱い側もしっかりと力を発揮していく必要が出てきます。

そのため、それぞれのダンベルの重さを同じにして挙上を繰り返していったり、弱い側を集中的に鍛えていくことで、左右のバランスを改善していくことが可能。

しっかりとバランスが取れた体は、高い運動パフォーマンスや安定感につながったり、怪我の防止にもつながるため、そういった点においてダンベルベンチプレスは優れていると言えるでしょう。

上腕三頭筋への負荷のかかり方

ベンチプレスで鍛えられる筋肉の一つとして上腕三頭筋は有名。そして、ベンチプレスの器具としてバーベルを利用するのか、ダンベルを利用するのかで、上腕三頭筋への負荷の入り方が異なってきます。

バーベルベンチプレスとダンベルベンチプレスを行った時に、上腕三頭筋と上腕二頭筋に起こる電気活動(筋活性)を調べた研究によると、バーベルベンチプレスの方が、よりも電気活動はとても大きいという結果が報告されています。

それに対してダンベルベンチプレスの場合、動作の中で上腕二頭筋に電気活動が起こって上腕二頭筋の関与が起こってくるため、上腕三頭筋で起こる電気活動が少なくなり、上腕三頭筋へ刺激が集中しない可能性が指摘されています。

これはおそらく、両者の可動域の違いにも関わってくることで、ダンベルベンチプレスでは可動域に柔軟性がある代わりに、腕が自由に、そして不安定に動きやすく、その結果、上腕二頭筋の関与が大きくなっています。

大胸筋と一緒に、腕を太くするために上腕三頭筋も集中して鍛えていきたいなら、バーベルベンチプレスの方が良いでしょう。

バーベルベンチプレスとダンベルベンチプレス|ベンチプレスを2つの器具で比較のまとめ

バーベルベンチプレスとダンベルベンチプレスをいくつかの視点で比較しました。

この二つの器具の違いは同じベンチプレスであっても、違った効果に繋がってきます。どちらか一方が優れているというよりは、目的別に使い分けていくのが最もベストな選択肢と言えます。

今回比較して確認出来たそれぞれの違いを覚えておき、適材適所で筋トレメニューに取り入れていき、より目的に合った効果を手に入れていきましょう。