WPIとWPCの比較をしていきます。ホエイプロテインに含まれる2つの種類の特徴や違いを理解して、自分に適した使い分けをしていきましょう。
WPIとWPCは、筋トレのサプリメントとしても最も優れているとされるホエイプロテインのことをいいます。ただし、それぞれ違った製法によって作られたホエイプロテインの異なった種類。
多くの人にとって、ホエイプロテインはホエイプロテインで、そこに含まれる異なった種類についてまで理解しているといったことは少ないと思いますが、筋トレを極めるためにはその違いも知っておく必要があります。
筋トレをして筋肉を最大限成長させたいなら、細かい点も理解しておいて、適材適所でそれぞれを利用していくのがおすすめです。
今回はそのWPIとWPCについて、それぞれの特徴の比較をして、目的別の用途についても触れていきます。それぞれについて学んで、プロテインマスターになりましょう。
目次
ホエイプロテインってなんだっけ?
ただし、ホエイプロテインについて理解していないことには話が進まないので、まずはホエイプロテインについて基本的なことを簡単におさらいしていきましょう
ホエイプロテイン、つまりホエイタンパク質は牛乳が含んでいるタンパク質の一種で、牛乳のタンパク質のうちおよそ20%を構成しているとされるもの。
ヨーグルトやチーズに凝固させる過程で、副産物的に確認することのできる乳清「透明に近い液体」に含まれるタンパク質のことで、その乳清をフィルターに通して処理されたものが、ホエイプロテインパウダーになります。
このホエイプロテインパウダーは、多くのアミノ酸(※注)が含まれているといったメリットやさらに吸収効率も優れているため、他の種類のプロテイン(カゼインやソイなど)と比較して、すばやく吸収されるといったメリットがあります。
そのため、筋肉の修復や成長に必要なタイミングで摂取されることが多く、筋肉の合成に必要な原材料を供給できるものとして、最も一般的に利用されているプロテインサプリメントです。
(注釈)食事でとるタンパク質は体内で吸収された後に、一度アミノ酸に分解され、筋肉に必要な筋タンパク質へ再合成され、筋肉の修復や成長の原材料となる。
2つのホエイプロテイン:WPIとWPCの比較
さて、ホエイプロテインについては理解できているとしても、ここで直面するのがホエイプロテインの種類。
実はホエイプロテインにも、その生成の過程によっていくつかの種類が存在しており、その中でも一般的にWPCとWPIの2つのタイプが有名。
筋トレに真剣になればなるほど、このホエイプロテインの種類による違いというのも理解して、目的に応じてどちらの方がベターな選択肢なのかを知りたくなるはずです。
その、WPCとWPIのホエイプロテインについて、それぞれの特徴を確認して、比較していきましょう。
WPC(ホエイプロテイン・コンセントレート)
WPCはWhey Protein Concentrate(ホエイプロテイン・コンセントレート)の略。日本語にすると「濃縮乳清タンパク質」と呼ばれるホエイプロテイン。
乳清をろ過するためにフィルターで処理した後にできる液体を濃縮し、その濃縮したホエイを乾燥させてパウダー状にしたのが、WPCホエイプロテインパウダーの正体。
乳清をフィルター処理してろ過するといっても、ろ過されてできた液体には、脂肪分や炭水化物など様々な栄養分(見方によっては不純物)が含まれたままになるホエイプロテインです。
そのため、WPCのホエイプロテインには次のような特徴があげられます。
- タンパク質含有率はおおよそ70~80%(※70%以下のものもある)
- 不純物も多く含まれるため、タンパク質含有率は上記の範囲内に収まることが多い(WPI比べて低め)。
- 比較的カロリーが高め
- WPCのホエイプロテインが含む脂肪分や炭水化物によって、全体的にカロリーが高めである。
- ラクトース(乳糖)が多く含まれる
- ろ過後の液体には、そのままラクトース(乳糖)が含まれることになる。
- ラクトースの含有率は5~7%になる。
- 牛乳を飲むと腸内ガスによる膨満感を感じやすかったり、お腹がゴロゴロしてしまうといった、乳糖不耐症をもっている人には向かない。
- 必要な栄養素を残しておける
- 不純物にはもともと乳清に含まれているビタミンやミネラルといった健康に必要な栄養素も含まれる。
- 比較的値段が安い
- 製造過程が比較的簡単なためコストを抑えることができる。
WPI(ホエイプロテイン・アイソレート)
WPIはWhey Protein Isolate(ホエイプロテインアイソレート)の略で、日本語では「分離乳清タンパク質」と呼ばれるホエイプロテイン。
WPIは、乳清からフィルターによって処理されたWPCのホエイプロテインをさらに処理してできた純度の高いホエイプロテイン。
そのフィルターの処理には、基本的に次の2つのどちらかが用いられていて、それぞれの特徴についても簡単に紹介していきます。
- イオン交換法
- 電荷を帯させて、科学的にタンパク質だけを分離させる方法
- タンパク質を純度高く取り出せる
- 脂質や炭水化物の含有量が抑えられるため、カロリーも低めに抑えられる
- ただし、その他カルシウムなどの健康にとって大切な栄養素も分離させてしまう
- CFM製法(クロス・フロー・ミクロフィルタレーション)
- 標準のフィルターより4倍も細かいミクロフィルターを使ってろ過する方法
- 何度もフィルターにかけることによって、タンパク質を純度高く取り出せる
- 脂質や炭水化物の含有量が抑えられるため、カロリーも低めに抑えられる
- カルシウムなどの栄養素を比較的多く残せる
つまりWPIのホエイプロテインは、製法により微妙な違いはあるとしても、WPCと比較して、より多くの不純物を取り除くプロセスがあることでタンパク質の純度が高くなったホエイプロテイン。
そのためWPIは次のような特徴をもっています。
- 高純度のタンパク質含有率
- 一般的には85~90%程度(※ものによってはさらに高い含有率を誇る)のタンパク質含有率を誇る。
- ラクトース(乳糖)がほとんど含まれない
- WPIを精製する過程で、ラクトース(乳糖)も極力排除していくことになりる。
- ラクトースの含有率も1~2%程度とされ、乳糖不耐性の人にとってはありがたいプロテイン。
- 吸収も早い
- 「不純物が少ない」といった特徴から、摂取後の吸収に必要な時間もWPCに比べてより短い。
- 値段が高いことが多い
- 製造過程が多く、手間がかかっているため値段が高い
このようなことから、WPIは摂取カロリーを気にしながらも筋肉を大きく成長させたいという人や乳糖不耐性に困っている人、そして、速攻でアミノ酸を筋肉へ供給したい人にとってはおすすめなホエイプロテインであるといえます。
ちなみに、WPIの特徴である健康に大切な栄養が少なめといった点を補うために、商品によってはミネラルやビタミンを追加しているものも多くあります。
個人的にはWPI(ホエイプロテイン・アイソレート)がおすすめです。理由としてはタンパク質含有率が高く純粋にタンパク質を摂取することができ、お腹を下す心配もないので、これらの特徴は値段が高いこと以上にメリットがあると考えているからです。
WPIとWPCの比較まとめ
上で見てきたWPIとWPCのプロテイン比較をまとめると、以下のような感じになります。
WPC | WPI | |
概要 | 自然なホエイ(乳清)に近い状態のタンパク質 | 何度もフィルタリングされた結果、とても純度の高いタンパク質を含有している |
タンパク質含有率 | 70〜80%(低め) | 80〜90(高め) |
その他の栄養素 | 不純物(脂質や炭水化物など)が多い | 不純物(脂質や炭水化物など)が少ない |
カロリー | 比較的高い | 比較的低い |
吸収の速さ | WPIよりは遅い | WPC以上に早い |
ラクロース(乳糖) | 含有量が多い | 含有量が少ない |
値段 | 安め | 高め |
WPIとWPCのどちらが自分に適しているの?
筋トレの筋肉を最大限に成長させえるためにも、自分の目標、予算、アレルギーなどを確認して、最も適したホエイプロテインパウダーを選ぶのがベター。
しかしWPIとWPCの違いについては理解できたものの、自分にとってはどちらのタイプのホエイプロテインがより適しているか迷う人も多いかもしれません。
そこで、自身の状況と照らし合わせて、選択する際の手助けとなる簡単なヒントを表にして以下のとおりまとめておきます。
WPIとWPCで迷ったら確認しておきたい早見表
ニーズ | WPC | WPI |
アミノ酸の含有量が優れているプロテインが欲しい | ◯ | ◯ |
筋トレ直後に速攻吸収されるプロテインが欲しい | △ | ◯ |
タンパク質以外の栄養も多いプロテインが欲しい | ◯ | △ |
減量中につき、厳しくカロリー制限したい | ◯ | |
お腹がゴロゴロする(乳糖不耐症)からラクトース(乳糖)を避けたい | ◯ | |
水や牛乳に溶けやすくて飲みやすいものが欲しい | ◯ | ◯ |
予算に限りがあるから安いプロテインが欲しい | ◯ |
◯=絶対におすすめ
△=基本的には利用しても問題なし
WPIとWPCのプロテイン比較|ホエイプロテインで適しているのはどっち?のまとめ
ホエイプロテインの2つの種類、WPIとWPCについてそれぞれ特徴を比較してきました。
筋肉をつけるためにも最も優れたプロテインとされるホエイプロテイン。
そのホエイプロテインの中でも、最も一般的なWPIとWPCの種類の違いを理解して、自分の目的にとってより適したプロテインパウダーを利用していければ、筋肉の成長を考えた場合、まさに鬼に金棒。
大多数の人にとってはおそらくWPIのホエイプロテインで十分だと思いますが、人それぞれこだわりがあると思うので、上手くこの2つを使い分けることができれば、さらに筋肉の成長を促していけるようになります。
これからホエイプロテインを購入する際は、WPCなのかWPIなのかも一緒に確認してみましょう。
今回学んだことを意識すれば自分に合うプロテインをみつけることができます!