コンパウンド種目とアイソレーション種目の比較|おすすめな筋トレタイプはどちら?

コンパウンド種目とアイソレーション種目の筋トレについて比較をしていきます。それぞれがどのような特徴をもち、目的に応じてどちらがおすすめなのかも一緒に確認していきます。

コンパウンド種目とアイソレーション種目という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、この2つの筋トレについて、それぞれどのような特徴をもっていて、どんな違いがあるのか知っていますか?

今回は、筋トレ用語としても頻繁に耳にすることの多い「コンパウンド種目」と「アイソレーション種目」を比較をしていきます。

筋肉の成長を最大化できる筋トレメニューを考えていくためにも、一度確認してみるのがおすすめ。まずは、両者の特徴をそれぞれ確認していくところから始めていきましょう。

コンパウンド種目(多関節種目)の筋トレとは?

コンパウンド種目は、多関節種目、複関節種目、複合関節種目などとも呼ばれるタイプの筋トレ。

名前からもわかるとおり、動作に「2つ以上の関節動作」が含まれる筋トレ種目を指し、基本的にはそれぞれの関節に関与する多くの筋肉を使っていくことになります。

そのため、主要な動作をおこなう主な筋肉群とそれをサポートするようにしてはたらく副次的な筋肉群が同時にはたらいて大きな力を発揮できるため、高重量の負荷を扱いやすいといった特徴をもっています

また、コンパウンド種目では、ひとつの動作を高負荷のウエイトを利用して繰り返すせるため、一度に広い範囲の筋肉群を鍛えていけるといった特徴があるともいえます。

そのコンパウンド種目の代表例は以下のとおりです。

コンパウンド種目の代表例

ベンチプレス

  • 動作に関わる関節:肩関節・肘関節
  • 主な筋肉群:大胸筋
  • 副次的な筋肉群:三角筋(前部)・上腕三頭筋

デッドリフト

  • 動作に関わる関節:股関節・膝関節
  • 主な筋肉群:大臀筋・ハムストリング・脊柱起立筋
  • 副次的な筋肉群:広背筋・僧帽筋・大腿四頭筋・前腕屈筋群

スクワット

  • 動作に関わる関節:膝関節・股関節
  • 主な筋肉群:大腿四頭筋・内転筋群・大臀筋(下部)・脊柱起立筋
  • 副次的な筋肉群:ハムストリング・下腿三頭筋・三角筋や僧帽筋(バーベルを担いだ場合)

懸垂やラットプルダウン

  • 動作に関わる関節:肩関節・肘関節
  • 主な筋肉群:広背筋・大円筋
  • 副次的な筋肉:僧帽筋(中・下部)・三角筋後部・肘屈筋群

ベントオーバーローイング

  • 動作に関わる関節:肩関節・肘関節
  • 主な筋肉群:広背筋・僧帽筋(中・下部)
  • 副次的な筋肉:大円筋・肘屈曲筋群

ショルダープレス

  • 動作に関わる関節:肩関節・肘関節
  • 主な筋肉群:三角筋(前・中部)
  • 副次的な筋肉:僧帽筋・前鋸筋・上腕三頭筋

コンパウンド種目を見分けるために覚えておくといいこと

おこなう筋トレがコンパウンド種目なのかどうかを見分けるために、次のコンパウンド種目の共通項を知っておきましょう。

まず1つ目が、コンパウンド種目として認識される筋トレ種目の系統。

  • プッシュ系
  • プル系
  • スクワット系
  • デッドリフト系

これらの4つの系統の筋トレ種目は、通常であれば2つ以上の関節動作が含まれて、多くの筋肉が関与することになるため、例外を除いてコンパウンド種目である場合がほとんどです。

そして2つ目の、コンパウンド種目に共通してみられる特徴が以下のもの。

  • 胸の力を使って押す筋トレ種目
    • →肩関節と肘関節動作が含まれる
  • 肩の力を使って押す筋トレ種目
    • →肩関節と肘関節動作が含まれる
  • 背中の力を使って引く筋トレ種目
    • →肩関節と肘関節動作が含まれる
  • しゃがんで立ち上がる種目(スクワット系種目)
    • →膝関節・股関節が含まれる
  • かがんだ体勢を起こす種目(デッドリフト系種目)
    • →股関節・膝関節動作が含まれる

これらの特徴を覚えておけば、コンパウンド種目なのかアイソレーション種目なのか迷った時にも、簡単に見分けることができるようになります。

アイソレーション種目(単関節種目)の筋トレとは?

アイソレーション種目は、別名、単関節種目と呼ばれるタイプの筋トレ。

コンパウンド種目とは逆で、動作をおこなう中でひとつの関節動作だけを含む筋トレ種目を指し、その関節動作に関与するひとつの関節だけが関与していくというのが特徴。

また、関与する筋肉が少ないため、コンパウンド種目と比較すると扱える重量も小さくなり、主なターゲットとする筋肉群には大きな刺激を入れられたとしても、他に副次的な筋肉群が関与した場合、それらの筋肉には十分な刺激が入りにくいといった特徴があります。

ちなみに、アイソレーション種目の代表例には次のようなもの。

アイソレーション種目の代表例

バイセップカール

  • 動作に関わる関節:肘関節
  • 主な筋肉群:上腕二頭筋・上腕筋・腕橈骨筋
  • 副次的な筋肉群:特になし

トライセプスエクステンション

  • 動作に関わる関節:肘関節
  • 主な筋肉群:上腕三頭筋
  • 副次的な筋肉群:特になし

 ダンベルフライ

  • 動作に関わる関節:肩関節
  • 主な筋肉群:大胸筋
  • 副次的な筋肉群:三角筋(前部)

サイドレイズやフロントレイズ

  • 動作に関わる関節:肩関節
  • 主な筋肉群:三角筋
  • 副次的な筋肉群:前鋸筋・僧帽筋

レッグエクステンション

  • 動作に関わる関節:膝関節
  • 主な筋肉群:大腿四頭筋
  • 副次的な筋肉群:特になし

レッグカール

  • 動作に関わる関節:膝関節
  • 主な筋肉群:ハムストリング
  • 副次的な筋肉群:腓腹筋(※種類によっては)

カーフレイズ

  • 動作に関わる関節:足関節
  • 主な筋肉群:ヒラメ筋・腓腹筋
  • 副次的な筋肉群:長腓骨筋ほか下腿筋群

アイソレーション種目を見分けるために覚えておくといいこと

アイソレーション種目かどうかを見分けるためにも、次の系統の筋トレ種目が、基本的に含まれると覚えておくのがおすすめ。

  • レイズ系
  • カール系
  • エクステンション系

これらの系統の筋トレ種目は、通常、正しいやり方をおこなっていけばひとつの関節動作のみを含み、少数の筋肉だけを関与させていくことになります。

おすすめはどちら?コンパウンド種目とアイソレーション種目を比較してみる

コンパンド種目の筋トレとアイソレーション種目の筋トレについて、それぞれどのようなものかを理解したところで、ここからはその2つの筋トレ種目が、どのような場面でおすすめなのかを比較していきたいと思います。

全体性を重視するならコンパウンド種目がおすすめ

コンパウンド種目の筋トレでは、多くの筋肉群を関与させていくため、アイソレーション種目と比較して、より重いウエイトを挙上できるようになるという点は、すでに上で触れたとおり。

その結果、コンパウンド種目の筋トレを繰り返しておこなった方が体全体の筋肉増強を考えている場合、より早いペースで継続的に成長させていくことができることになります。

一方、アイソレーション種目では、ひとつの関節動作に関与する少数の筋肉だけしか使わないため比較的軽めのウエイトしか扱えなかったり、局所的な強化にとどまり、全体的な筋肉増強を考えた場合には大きな成果が見込めません

そのため特に次のような目的に対しては、コンパウンド種目の方がよりおすすめだといえることになります。

  • 全体的に筋肉の増強をしたい
  • 全体的に体を引き締めたい
  • 筋肉量を増やして体重の増加を図りたい
  • 全身の筋肉量を増やして基礎代謝を高めたい
  • パワーアップを図りたい
  • 実戦の動き(複数の関節が関与する)のパフォーマンスを高めたい

筋トレの目的は、上のいずれかに当てはまることが多いかと思うので、多くの人にとって大抵の場合、コンパウンド種目の方がおすすめだといえます。

局所的な強化や魅せるためならアイソレーション種目がおすすめ

局所的な負荷をかけてオールアウトするために利用価値が高い

アイソレーション種目がおすすめなケースのひとつとしてまずあげたいのが、局所的にオールアウトさせたいという場合。

例えば、次のようなシチュエーションです。

  1. ベンチプレスをおこなったが大胸筋がまだ完全に疲労していない
  2. しかし、三角筋前部や上腕三頭筋は疲労している
  3. よって、ベンチプレスをこれ以上挙上することは不可能で、大胸筋を追い込めない

このような場合、三角筋前部や上腕三頭筋の関与が必要なコンパウンド種目はそれ以上無理でも、大胸筋だけを関与させて繰り返すアイソレーション種目はまだ可能であるはず。

したがって、大胸筋を隔離して鍛えるアイソレーション種目のダンベルフライをおこない、最後に残った局所部分を追い込んでいくといった場合には、アイソレーション種目は特に有効になってくるのです。

間違ったフォームによって一部の筋肉に効かせられない時におすすめ

また、局所的に鍛えられるという利点を別の角度でみた場合、間違ったフォームのせいで一部の筋肉に効かせられないなんていった場合にもアイソレーション種目はおすすめです。

例えばデッドリフトをおこなう際、間違ったフォームで大臀筋ばかりを使ってしまい、一緒に鍛えたいハムストリングに上手く効かせられないということがあります。

そんな時は、間違ったフォームを正していくことはもちろん、膝関節を曲げる膝関節屈曲のアイソレーション種目であるレッグカールなどをおこなってハムストリングを強化していくことで、間違ったフォームを続けて起こってしまうかもしれない筋肉の不均衡を防ぐことにつながってきます。

純粋に局所的な部位を鍛えたい場合だってもちろんおすすめ

例えばボディメイクやボディビル、他にもフィジークなどいわゆる魅せるための筋肉をつけたいと考えている場合もアイソレーション種目は大活躍します。

例えばボディビルダーの場合、コンテストで高得点を獲得しようとすると細部の筋肉の発達までこだわっていく必要があります。

その際、自分の弱点である部位を局所的に徹底的に鍛えていく必要があり、そこでアイソレーション種目が活躍することになります。

そのため、基本的に「魅せるための筋肉」を手に入れたいと思った場合、コンパウンド種目と同時にアイソレーション種目を必要に応じて取り入れていくことがおすすめになります。

筋トレメニューを組み立てる際に知っておきたいポイント

コンパウンド種目とアイソレーション種目がどのような場面においておすすめなのか比較してきましたが、最後にそれぞれの特徴を前提に、筋トレメニュー組む際に覚えておきたいポイントを確認しておきましょう。

連日コンパウンド種目の筋トレをおこなう場合は注意が必要

コンパウンド種目の筋トレをおこなう場合、本来の主力筋ではない副次的な筋肉群にも大きな負荷がかかりやすいです。この点を踏まえたうえで注意しておきたいのが、連日筋トレメニューをこなす場合。

というのも、主に鍛える部位は違っても、実は前日に副次的に使われていた筋肉をその次の日に主要な筋肉群として使っている可能性があり、この場合、筋肉が疲労から回復するための十分な時間を取れないということになってしまいます。

例えば、次のようなスケジュールを組んだ場合。

  • 1日目:大胸筋をメインに鍛えるためにベンチプレスをおこなう
    • 上腕三頭筋が副次的に使われて疲労する
  • 2日目:トライセプスエクステンションで上腕三頭筋を主力筋として鍛える
    • 上腕三頭筋が疲労から回復していないのに負荷をかけてしまっている

このような形で、コンパウンド種目で副次的に鍛えられる筋肉をしっかりと理解していなかったことで、その筋肉が十分に回復する時間がなく連日鍛えてしまう可能性があるので注意が必要です。

事前に筋トレのスケジュールを立てる際は、この点を意識しながら組んでいきましょう。

基本的にはコンパウンド種目が先でアイソレーション種目が後

筋トレメニューを組む際には、コンパウンド種目を先におこない、後にアイソレーション種目をおこなうという順番にするのが基本。

これは、アイソレーション種目で一部の筋肉を疲労させてしまうと、その筋肉も動作に関与するコンパウンド種目をおこなおうとした場合、その疲労した筋肉のせいで他の筋肉は疲れてないのに十分に挙上できなくなってしまうというのが理由です。

例えば、先にバイセップカールをおこなって上腕二頭筋を疲労させてしまうと、その後にチンアップ(逆手懸垂)をおこなおうとしても、上腕二頭筋の疲労のせいで十分に繰り返していけなくなってしまう。

そのため、コンパウンド種目をおこなう場合は、基本的には先にコンパンド種目をおこなって、その後にアイソレーション種目という順番で筋トレメニューを組んでいきましょう。

ただし、事前疲労したい場合は逆もあり

ただし、事前疲労というテクニックを用いたい場合は、先にアイソレーション種目をおこなっていくこともあります。

例えば、コンパンド種目であるバーベルスクワットの前に、アイソレーション種目であるレッグエクステンションをおこない、特定の筋肉(ここでは大腿四頭筋)を事前に疲労させておきます

通常、基本となるバーベルスクワットを正しいフォームでおこなった場合、大腿四頭筋の方がお尻の大臀筋より体積が大きく疲労しにくいため、大腿四頭筋が疲れる前に大臀筋が疲れてしまい、それ以上バーベルスクワットで大腿四頭筋を追い込めなくなってしまいます。

しかし、事前にレッグエクステンションで大腿四頭筋を疲労させておけば、大臀筋が疲労する前により高重量なウエイトを利用したコンパウンド種目であるバーベルスクワットで、大腿四頭筋を限界まで追い込んでいくことができるようになります。

このように、上級者向けの事前疲労テクニックを利用するために、アイソレーション種目をコンパウンド種目より先におこなうという筋トレメニューの組み方もあります。

コンパウンド種目とアイソレーション種目の比較|おすすめな筋トレタイプはどちら?のまとめ

コンパウンド種目とアイソレーション種目について比較してきました。

この2つの違いは「どちらが優れていて、どちらが劣っているか」といったものではなく、あくまでも目的によって使い分けていくというのがそれぞれの効果を引き出す利用の仕方なのです。

今回で両者の違いや特徴を覚えたと思うので、上手く使い分けて筋トレの効果を最大化していきましょう!