トレーニング後のタイミングでしっかりと体の中に栄養が充満しているかどうかが、筋トレで得られる筋肉増強の成果を左右します。
筋トレ後の食事は、筋肉を修復させて成長させるためにも大切。
「時は金なり」ということわざがあるとおり、筋トレにおいても「タイミングは筋肉なり」といえるぐらいどのタイミングで栄養を摂取して、体内に充満させておくかはとても大切。そしてその「タイミング」のひとつがトレーニング後なのです。
今回はその大切なタイミングである「筋トレ後」に食事を摂取する目的や効果、そしてなぜ筋トレ後がそれほど大切なのかを見ていきます。
また、摂取するべき栄養や筋トレ後の食事をとる場合に抑えておきたいポイントも、後半で紹介していくので確認してみましょう。
目次
この記事の中でいう筋トレ後の食事の定義
筋トレ後の食事とはその言葉どおり、筋トレ後にとる食事のこと。
しかし一般的に筋トレ後の食事として議論する場合、トレーニング後数時間が経ってからの食事ではなく、筋トレ直後の食事を指す場合も多くあります。
また、筋トレ後の中でも、栄養摂取を考えた場合にとても大切なのがトレーニング直後。
そのためこの記事の中で「筋トレ後の食事」というのは「筋トレ直後の食事」を前提として考えてていくこととします。
この筋トレ直後の食事(以降、筋トレ後の食事)から得られる栄養は、筋肉や体を再構築したり、体を動かすエネルギーを補給し、さらに全体的な肉体の回復を促していくためにも効果的なのです。
筋トレ後の食事の効果とは?
一般的に筋トレ後の食事には次の3つの目的があるといえます。
- グリコーゲンの補充
- 筋タンパク質の分解を減少させる
- 筋タンパク質の合成を促す
つまり、この3つの目的を考えた場合、アスリートやトレーニーが筋トレ後の食事に期待できる効果とは、次のようなものになる。
- エネルギーを補充する(※グリコーゲンは筋肉を動かすためにも大切なエネルギー)
- 筋肉のサイズや質を向上させる
- 筋トレからの筋肉のダメージを回復させる
動きの改善を促したり、見た目をよくしたり、人によっては怪我をしない体を作るためにも、筋トレ後の食事はとても有効になります。
さらに見方を変えれば、優れた筋トレ後の食事メニューを考えていき、正しいタイミングで摂取していくことは年齢や性別に関係なく、
- トレーニングや運動からの回復を促して日常生活への支障を最小化する
- 筋肉痛を和らげて不快感を減らす
- 筋肉を作るプロセスを効率化する
- 免疫機能の向上や怪我の予防して健康寿命を延ばす
- 筋肉量が増え基礎代謝が上がることで脂肪をエネルギーに変える力が向上する
といった効果があり、日常生活においても健康的に過ごせるといえるのです。
筋トレ後の食事がそこまで大切な理由とは?
筋トレ後の食事が持つ効果について確認してきましたが、なぜそもそも筋トレ後に食事を摂取していくことそこまで大切なのでしょうか?
筋トレ後の食事が大切な理由について、順を追って見ていこうと思います。
筋トレではストレスがかかり筋肉へダメージが加わる
筋トレは健康や美容、そして身体能力向上に関して優れた効果をもたらす反面、筋トレは相当な生理的ストレス要因でもあります。体にかかるストレスの結果、高強度な筋トレを行うと筋肉痛や倦怠感といった症状が起こります。
これは筋トレにより筋肉の燃料が枯渇し、筋繊維が微細なダメージを受けているため、「栄養の補充と筋肉の修復が必要な状態」であることを示しているということでもあります。
筋トレで引き起こされたダメージから筋肉を回復させ、再構築させていくサイクルを繰り返していくことが、筋肉を成長させていくために重要なプロセスになります。
再構築のプロセス中に十分な栄養を確保することで筋肉の成長が始まる
ここでちょっと比喩的な例として、マイホームの壁をリフォームすることを想像してみましょう。
そこには、
- 壁を壊す業者(またはチーム)
- 壊した壁の部分にさらにいい壁を作ってくれる業者(またはチーム)
が、関わってくるとします。
しかし、そのいい壁を作ってくれる業者(またはチーム)に、壁の原材料になるレンガを渡さなかった場合、どうやって新しい壁を作ればいいでしょうか?レンガを渡さなければ、マイホームの壁は修復されずに、以前より優れた状態にはなれませんよね?
筋肉成長でもリフォームと同じプロセスが起こっている
実は、筋トレで筋肉を成長させていくためのプロセスでも同じことが起こっています。
体内では常に、
- 筋タンパク質を分解する
- →壁を壊す業者
- 筋タンパク質を合成する
- →壁を作ってくれる業者
という2つのプロセスが起こっています。
通常であれば、この分解と合成の割合が「分解 ≒ 合成」となっているため、筋肉量は減りも増えもしない均衡な状態が保たれているのです。
しかし筋トレを行っていると、体を動かすために血中にあるエネルギー源(栄養)がどんどん消費されていき、その栄養が枯渇すると、体は身体活動を継続するためのエネルギーを取り出していこうとして、今度は筋肉のタンパク質(筋タンパク質)を分解し始めていきます。
つまり大きな負荷を利用してある程度の時間で筋トレを続けた場合、筋タンパク質の分解が進むものの、筋肉を合成するために血中に含まれていた栄養素が少なくなってしまい、筋タンパク質の合成が進まないといった状態になってしまうのです。
これは、「分解 >合成」といったバランス状態。
この環境を一刻も早く変えるために、筋肉の壁を修復するブロック(栄養)を、壁を作ってくれる業者に渡す作業が「筋トレ後の食事」であり、筋肉の成長のためには大切になってくるのです。
筋トレ後の食事はその「タイミング」も理由のひとつ
また、筋トレ後の食事が大切なもうひとつの理由がそのタイミング。
一般的には「ゴールデンタイム」とも呼ばれる時間で、基本的には筋トレ終了後から45分以内を指すことが多く、できればトレーニング後~30分以内に筋肉の修復や合成に必要な栄養を摂取するのがいいとされるもの。
このゴールデンタイムの時間は、枯渇した栄養素を取り戻そうと筋肉が「準備万端」な状態。
このタイミングにすばやく必要な栄養を体内へ吸収すると、筋肉の修復や合成に効率よく利用されることになり、筋肉の成長が起こってくることになります。
逆にいえば、このゴールデンタイムを逃してしまうと、トレーニングで筋肉の成長を促す刺激を加えたのに、筋肉の成長を最大化するチャンスを失ってしまうということになります。
このゴールデンタイムは徐々に終わりに近づき、時間がたてばたつほど効果が薄くなっていくので、トレーニング後はできる限りすばやく食事をとって、筋肉に栄養を供給してあげることが大切になってきます。
飢えた筋肉に必要な栄養素とは?
筋トレ後というのはある意味「筋肉が飢えている」状態。とてもお腹がすいて飢えているからこそ、そこに食事を与えてあげれば筋肉は喜んで摂取して栄養補給をしていきます。
だからこそ、与えるならどんな栄養が最も大切かをきちんと考えながら食事をとっていくのが大切。
筋トレ後にとっておきたい栄養について確認してみましょう。
まずはタンパク質!
まず絶対に考えるべきなのがタンパク質の摂取。トレーニング中に分解された筋タンパク質を再構築していくには、タンパク質の摂取が大切。
タンパク質は摂取して体内に吸収されると、
- アミノ酸に分解される
- アミノ酸が筋タンパク質として再合成される
というプロセスがあり、筋肉の修復や成長に使われていくことになる。
そのため、筋肉の分解を一刻も早くとめ、できる限りすばやく筋肉の合成量が分解量を上回った状態に持っていくためにも、筋トレ後の食事ではまずタンパク質を摂取していくことが大切になってきます。
ちなみにタンパク質をトレーニング後に摂取する場合、目安としては20g前後を基準にして、最大でも30gまでを摂取するといった感じにしましょう(※タンパク質を1度に30g以上摂取しても消化しきれない)。
次に炭水化物も大切!
タンパク質と同じぐらい炭水化物の摂取も筋トレ後の食事には大切。
筋トレを行ったために体内のグリコーゲンが枯渇している状態を放置しておくと、体は筋肉を分解し続けたり、せっかく摂取したタンパク質を身体活動を維持するためのエネルギー源として使ってしまい、筋肉の合成に結びつけることができなくなってしまいます。
つまり摂取したタンパク質を筋肉の成長に最大限利用していくためには、筋トレ後の食事で炭水化物を摂取してグリコーゲンの補充をしていくことが重要になってきます。
さらに、炭水化物を補給することでインスリン値を高めることも、筋トレ後の食事に炭水化物摂取が大切な理由であります。
というのもインスリンは、糖として分解された炭水化物を筋肉も含む体組織に運ぶための大切なホルモン。そしてもうひとつ、アミノ酸を筋肉に運ぶという働きも持っている。つまり、
- 炭水化物を摂取してインスリン値を高める
- →糖やアミノ酸を筋肉へ運ぶインスリンの働きが活性化する
- →枯渇したグリコーゲンや筋肉の修復に必要なアミノ酸が補給される
といったことが起こり、筋トレ後に起こっている筋肉の分解の抑制につながるのです。
このようにグリコーゲン値を上げて、補給したタンパク質が無駄なく筋肉の合成に使われるためにも、インスリン値を高めて筋肉の分解をすばやく抑制するためにも、筋トレ後の食事で炭水化物の摂取は大切だといえるのです。
ちなみに、トレーニング後のタイミングでは摂取するタンパク質のおおよそ2倍の炭水化物を目安に摂取していきましょう。
脂質は避けた方がいい
ただし脂肪の摂取は、基本的に避けるべきです。脂質は確かに筋肉を成長させるために働く様々なホルモンを分泌させるためにも大切。
しかし筋トレ後の食事の目的は、あくまでもスピーディーに体内へ必要な栄養を吸収して、筋肉の分解を抑制することが先決。
脂質は消化に時間がかかることで消化器内に長く留まり、それが炭水化物やタンパク質の消化・吸収スピードも遅くしてしまう恐れがあります。
トレーニング後の食事は、速やかに消化されお腹がすいた筋肉にできるだけ早く炭水化物とタンパク質を届ける必要があるので、この時間帯は脂肪の摂取は控えた方がいいです。
脂質を摂取したい場合は、筋トレ後から1.5~2時間程度経過したタイミングで摂取をするようにしましょう。
筋トレ後に食事をとる際に大切なこと
トレーニング後になぜ食事が大切なのか、また筋トレ直後のタイミングで摂取すべき栄養について見てきましたが、摂取するといっても、タンパク質や炭水化物であればなんでもいいというわけではない。
というのも、筋トレ後というのは体力的にも疲れており、さらにトレーニングのストレスにより摂食中枢(空腹中枢)がシャットダウンされた状況であるため、そもそも必要なタンパク質と炭水化物を補うための通常の食事を食べるのはかなり大変。
また、吸収が遅い食材を食べても、消化されて吸収され、その後に栄養分へ分解されて各筋肉まで届くのに時間がかかってしまうため、ゴールデンタイム内に飢えた筋肉へ十分な栄養を供給することはまず不可能。
そこで、筋トレ後の食事をとる際に知っておきたいポイントについて次で触れていきます。
トレーニング後の食事は「消化・吸収のすばやさ」がカギ
トレーニング後の食事の目的は、とにかくできる限り早く筋肉に必要な栄養を供給してあげること。この大前提を考えた場合に大切なのが、食事をとった後の消化・吸収のはやさ。
食事をとった後にすばやく消化・吸収されて、血中内に栄養が充満していけばその分筋肉の分解は抑えられ、すぐにでも必要な筋肉の修復や再構築が開始されていきます。
つまりここで大切なのが、できる限り消化のプロセスが少なく、食事として摂取後すぐに吸収されていくものを厳選してとっていくということです。
そしてそのために抑えておきたいのが、以下の2つのポイント。
- タンパク質をとるのであれば
- ホエイプロテイン(ホエイタンパク質)の食材
- 炭水化物をとるのであれば
- 単純炭水化物の食材
ホエイタンパク質も単純炭水化物も吸収がとても早く摂取後に短時間で分解され、筋肉へ必要な栄養が供給されていくことになります。
そしてホエイタンパク質を摂取するなら、基本的にはホエイプロテインパウダーやプロテインバーがおすすめ。
また単純炭水化物の例としては、キャンディーやフルーツ、他にも糖分の含まれたスポーツ飲料などがあります。
ドリンクタイプの食事がトレーニング後にはベター
トレーニング後の食事をする際に、もうひとつ抑えておきたいポイントがドリンクタイプの食事をすべきという点。
筋トレ後は固形食を食べる体力や食欲がない場合が多く、無理に摂取しようとするのは、精神的・肉体的な負担になるため、トレーニング後の食事としてはふさわしくないです。
一方、ドリンクタイプの食事であれば、疲れていても苦労なく飲めて、消化器官への負担もほとんどなくダイレクトに吸収されやすいというメリットがあります。
また、大量の発汗によって水分不足の状態になることが多いが、その状態の解消のためにも、体の各器官が正常に機能するように回復させるためにも、水分であるドリンクタイプの食事はとても効果的なのです。
筋トレ後の食事の効果や大切さ|トレーニング後の栄養補給に知っておきたいことのまとめ
筋トレ後の食事について、その効果や重要性を見てきました。
トレーニング後の栄養補給をキッチリと行えば、筋トレの成果を高めていくことにつながります。
今回紹介したことを参考に、ベストなトレーニング後の食事メニューを考えていってみましょう!